【バケモノの子】一郎彦に関する7つの知識!闇に飲み込まれてしまったニンゲンはもう一人の主人公!

親子の絆と成長をを描く映画『バケモノの子』。主人公の久太と熊徹の物語ではあるが、そのライバルの猪王山親子の話でもあり、息子の一郎彦はそのキャラクター性もあり高い人気を誇っている。主人公と対をなす存在の一郎彦。彼が何故人を引き付けるのか、一郎彦の魅力について確認してみようと思う。

映画『バケモノの子』に登場する一郎彦とは

日本の夏のアニメーション映画といえば真っ先に「ジブリ」が頭に浮かぶと思うが、それに負けないくらい定番になりつつあるものがある。それは細田守監督による作品群で、『サマーウォーズ』や『おおかみこどもの雨と雪』などがある。

各作品魅力的なキャラクターが多く登場するが、その中の『バケモノの子』に作中に登場する「一郎彦」は特に高い人気を誇る。今回はその一郎彦の魅力について検証してみようと思う。

映画『バケモノの子』とは

バケモノの子

2015年7月11日公開されたスタジオ地図制作の日本のアニメーション映画である。細田監督による長編オリジナル作品第4作で、前作に続き脚本も手がけている。「渋天街」というバケモノたちの住む架空都市を舞台に親子の絆を描く「新冒険活劇」となっている。

熊徹と九太の成長と絆を中心とし、バケモノと人間という相対する存在の間で生きる主人公や人間の闇など、様々なテーマを織り交ぜている。

一郎彦とは

次期宗師候補の一人・猪王山の長男で、親譲りの品格と強さを持つ。九太より一歳年上で、人間の文字が理解できる成績優秀な優等生。誇り高きバケモノである父を誰よりも尊敬し、自身も父と同じく立派なバケモノとなることを夢見て育つ。

青年期になると、少年期の優等生っぽい雰囲気から、大人びた精悍な顔つきに成長するも、家族のように伸びない牙や鼻を恥じ、口元を布で隠すようになる。

実は出生に秘密があり、そのことで苦悩を抱え、次第に心に闇を宿し、念動力が使えるようになるが、この力は彼の“心の闇”が源であり、バケモノの力ではない。最終的にとんでもない事態を引き起こすことになる。

映画『バケモノの子』の登場人物

九太/蓮(きゅうた/れん)

本作の主人公。本名は「蓮」だが、熊徹に名前を尋ねられた際、年齢しか明かそうとしなかったため「9歳だから九太」と命名される。

当初は「人間」であることから、周りからは冷遇されていたが、武芸の腕を上げたことや、「人間」という自らの個性を全面にアピールしていき、バケモノたちから徐々に受け入れられていく。

熊徹(くまてつ)

九太の師匠となる熊顔のバケモノ。武芸の腕は渋天街で一・二を争う最強の存在。高潔な品格と素行など徳の高さが求められる次期「宗師」候補の一人だが、粗暴で傲岸不遜且つ手前勝手な態度が多い。

宗師となるための条件である弟子を取ってもすぐに逃げられている。そんな性格だが、他のバケモノと違い人間を一切蔑視せず、身寄りのない九太を引き取って育てる優しい一面も持っている。

猪王山(いおうぜん)

渋天街の誰もが強さ・品格ともに一流と認める猪顔のバケモノ。一郎彦と二郎丸の父親で、武芸の能力は熊徹と互角に渡り合える強さを誇る。

熊徹と違い謙虚で慈悲深く、周囲に対しては物腰柔らかに接する器の広い性格や、渋天街に対する影響力の大きさから、一郎彦を始め数多くのバケモノたちからの尊敬を集めており、次期宗師に彼を支持する者も多い。

多々良(たたら)/百秋坊(ひゃくしゅうぼう)

熊徹の数少ない友人たち。久太と熊徹の師弟をときに暖かく、ときに厳しく見守っている。多々良は猿、百秋坊は豚のバケモノで、2人が九太の様子を見に人間界に行き、そこで語り合うのが本編の内容である。因みに百秋坊は久太の「家事の師匠」でもある。

宗師(そうし)

十万以上いるという渋天街のバケモノの頂点に君臨する兎顔のバケモノ。高齢だが武術の達人で、引退し神格化を考えており、強さ、品格とも一流のバケモノを自分の後継者として探している。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その1:一郎彦の心の闇とは

一郎彦の生い立ち

赤ん坊の頃人目につかない路地裏に放置されており、偶然人間界を徘徊していた猪王山に発見され、渋天街へ連れて帰られる。そのことは誰にも語られず、我が子同然に育てるも、一郎彦は薄々感づいており、本編でも伏線が張られている。

伏せていたのは、バケモノ界で「人間」は、一般的にバケモノと対を成す蔑まれた対象であり、また、「人間を住まわせると、いつしか心に“闇”を宿し、大変なことになる」という言い伝えがあり、それが一郎彦の人生に悪影響となる可能性を考えたためである。

しかし、一郎彦は周囲と違いに悩み、「自分は人間ではないか」と疑念を抱く。そして、10歳の時に九太との出会い、それは確信に変わる。またその時、尊敬する父が「人間は良くない物だ」と発言し、自分は「良くない人間で、父のようになれない」と悟ってしまう。

一郎彦の家庭事情

実際の両親については不明だが、バケモノ界においてかなりの権力を持つ猪王山の子として育つ。家庭は裕福な方で、父・猪王山には数多くの弟子を抱えている。

弟に次郎丸がおり、父同様に尊敬の対象としてみられていたが、同時に次郎丸は久太とも親友になり、「弟にとって唯一の存在」でもなくなってしまう。

一郎彦の心の闇が引き起こした騒動

次期宗師を決める熊徹と猪王山の決戦は、九太不在の影響からか熊徹は精彩を欠き追い詰められるも、駆けつけた九太に一喝され、間一髪立ち上がり、逆転勝利を収める。

熊徹が宗師になることが決定した瞬間、「あんな半端者に父上が負けるわけがない」と試合の結果に納得のいかなかった一郎彦が、念動力を用いて投げ放った鞘の抜かれた猪王山の剣が熊徹を背後から刺し貫き重傷を負わせ昏倒させてしまう。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その2:一郎彦と、主人公・九太との違い

九太との共通点

作中、九太の「自分も一郎彦になっていたかもしれない」の発言は、親戚と暮らしていた場合の、「誰にも心を開けない孤独感」のことではないか、とも言われている。

一郎彦は一人だけ家族と見た目が違うことなどによる「自分は一体何者なんだ」という思い、全てを知るはずの父に訊けない葛藤と、何も話そうとしない猪王山の態度も相まって、心の闇が増幅していく。

九太も、教科書を見た熊徹と言い合いになり家を飛び出した時や、実父と再会した時に、「辛い過去は忘れて一緒に暮らそう」と言われ、「何も知らないくせに」と拒絶してしまうなど、自分の心の闇の存在に気付く。

また、熊徹が刺されたことで激しい怒りに駆られた九太も心の闇が増し、念力を使い一郎彦を長刀で突き刺そうとしてしまう。

九太との相違点

バケモノの子(4) (角川コミックス・エース)

九太は「人間」であることを自覚し、その個性のままに認められていき、対する自分は父に相談もできない。猪王山は真実を隠したまま、一郎彦に接し続け、お互い核心に触れないままにすれ違ってしまった親子関係が続く中、一郎彦の目の届く範囲で、同じ様な境遇の人間である九太は、それを隠しもせずに健全に成長していく。

九太と熊徹の本気で本音でぶつかりあう親子のような関係に対し、一郎彦は父の多忙を理由に猪王山と距離があり、また、立場上久太のように(広義的な意味で)甘えることもできなかったのだろう。他にも九太にはチコや楓がいたが、一郎彦にはそのような相手がいなかったことも挙げられる。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その3:「人間」と「バケモノ」の間で揺れるアイデンティティ

九太や熊徹を見下すプライド

父を尊敬し、腕っぷしは強いが精神的には未熟な熊徹や、その弟子の久太を「半端者」「ひ弱」と蔑み、父こそが次期党首にふさわしいと考えている。しかし、それは単純に両者を比較したものではなく、自身の「心の拠り所」である「時期党首の息子」という立場が揺らぐことによるものだった。

自身の姿形がどうあれ、尊敬する父の猪王山が宗師へとなる、つまり「バケモノの中のバケモノ」となることで、息子である一郎彦自身もまた、「バケモノ」であることを遠因的に肯定付けしたかったのかもしれない。

「バケモノ」になれず葛藤

一郎彦は序盤に「僕はまだ子供だけどいつか父上の様な長い鼻と大きな牙の、立派な剣士になる」と発言をしているが、この時点で自身の正体に感付いていた節があり、必死に自己肯定をしていたようにも見える。そして成長し、父の様に伸びない鼻と牙を恥じて顔の下半分を布で隠し、常に豚顔の帽子を被るようになる。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その4:変身した「白鯨」は「人間の心の闇の象徴」

「白鯨」とは

白鯨 (上) (角川文庫)

世界の十大小説の一つとも称される、1851年に発表されたハーマン・メルヴィルの海洋冒険小説『Moby-Dick; or, the Whale』の邦題。沈没した捕鯨船で唯一生き残った乗組員が書き残した、白い鯨を巡る悲運と恐怖の物語である。

また「鯨に関する科学的な叙述」「作者が捕鯨船にて体験した捕鯨技術の描写」に費やされ、当時の捕鯨に関する生きた資料となっている。また、聖書のエピソードを多く引用しており、登場人物の名前もそれにちなむ。

久太と楓(人間界)との絆の象徴

久太はふとしたきっかけで人間界に戻ってくると、そこで立ち寄った図書館で偶然手に取った白鯨を読んでいると、女子高生の楓に出会う。以降、渋天街で武芸修行、渋谷で楓に勉強を教わるという生活を送る。学力向上し、人間界で初めて触れた本「白鯨」の内容が理解できるようになり、鯨を自らの心の闇を表した存在として認識するようになる。

一郎彦が鯨になったのは、上記の“九太の闇の象徴”を自らに重ね合わせ、反影させたためである。劇中で楓も鯨と化した一郎彦を「人間の闇そのもの」と評し、本作においての鯨は人間の心の闇の象徴として扱われ、一郎彦が鯨へと姿を変えたのは、一郎彦が完全に自我を忘れ自らの闇に取り込まれたからとされる。

また、久太が闘いに向け、白鯨を楓に預ける時、勉強を一緒にできたことなど、感謝の念を述べる。楓からも「蓮(九太)と一緒にいると勇気が出る」「一人で戦っているわけではない」と言われ、自分がかつてと違い一人ぼっちではないことを悟り、改めて一郎彦と闘う決意を固めるなどと、楓と久太を繋ぐアイテムでもある。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その5:闇落ちした一郎彦の最後

久太との最終決戦

一郎彦と九太は人間界で相まみえるも、一郎彦の凄まじい狂気に翻弄され九太は撤退していく。その後一郎彦が、自身を激しく叱責した楓に襲い掛かろうとしたとき、再び九太が眼前に現れる。九太は、一郎彦を自らの“闇”に取り込み、彼と刺し違えるつもりだった。そこへ宗師の特権を利用して付喪神に転生した熊徹が現れ九太と一体化する。

九太は作戦を改め、鯨に変身するとき、一郎彦本体が姿を現わすことを知り、その瞬間に狙いを定め、一郎彦の”闇”に目掛けて突進。そのまま一郎彦の闇を斬り裂くと、鯨は悲鳴の咆哮を挙げながら消滅し、一郎彦は九太によって”闇”から救われたのだった。

因みに白鯨の結末は、敵である鯨によって自らの足を失った捕鯨船の船長が、戦いの果てに、鯨と共に海底へと沈む、という内容で、熊徹がやって来なければ、二人最後は結局“闇”に打ち勝つことができず共倒れするという凄惨な運命を暗喩するものではないかと言われている。

騒動終結後の処遇

すべてが終わった後、一郎彦は闘技場での騒ぎ以降の記憶を失ったまま、自室で目を覚ます。そこには介抱疲れによって一緒に眠っていた家族の姿があった。そして見覚えのない赤い紐が右手首に付けられていた。

それは気絶している一郎彦に、「自分たちはバケモノにはなれない、“闇”のあるひ弱な人間だが、それでも共にバケモノに育てられた「バケモノの子」だ」と諭しつつ、九太が付けた楓のお守りだった。

悲劇的なキャラクターで「報われていない」という声もあるが、小説版では、一郎彦はバケモノ界にはいてはならない「人間」で、追放の可能性もあったが、九太が自らの闇を克服したことから、改めて猪王山の息子として家族と共に再出発することが許された。人間と判明した後でも、今まで通りの生活を送れるため、彼にとっては十分幸せだと言えるだろう。

映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その6:一郎彦の声優は「新世界の神」を熱演したあの男

狂気のイケメンを演じたら右に出る物無しの宮野真守の迫真の演技

青年期の一郎彦の声は、“口以上に物を言う”表情豊かな顔芸に定評のある、日本一「顔がうるさい」声優・宮野真守が担当する。キレッキレに振り切れた「宮野の狂いぷりが最高」と評される迫真の演技は、本職なだけあって演技面では最も高い評価を受け「宮野大爆発」状態である。

声を充てるに際し、一郎彦が口元を隠しているため、宮野自身もマスクを着用してアフレコをしたというエピソードがある。

宮野真守の代表作

夜神月(DEATH NOTE)、月山習(東京喰種)など狂気の天才を多く演じており、貴族やリーダー、エリート、優等生といったイメージだが、いずれもまっとうなキャラではない印象がある。他にも刹那(ガンダム00)や、クロロ団長(HUNTER×HUNTER)など特徴的な役を担当することも多い。

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映画『バケモノの子』一郎彦に関する知識・その7:一郎彦は「悲劇のヒロイン」?性別にも疑惑が?

主人公と同じ境遇ながら、一度は闇に堕ち、同じく闇に飲まれるも、それを乗り越えた主人公に助けられる結末から、男性キャラのはずが、「一郎彦こそ本作のヒロイン」と呼ぶ声は少なくなく、一部では「実は女性なんじゃ」とも囁かれるほどである。だが、声が宮野なのでその可能性は低いだろう。

本当は一郎彦は久太以上に恵まれていたのかもしれない

裕福な家庭に育ち、人望もある優しい親や、自分を慕う弟もいる。なにより一郎彦が気にしている「見た目」を誰も気にせず、蔑まされることなく普通に家族として暮らしている。「バケモノの子」は親子関係を描く作品である。勿論熊徹と久太の物語ではあるのだが、その裏返し的に、一郎彦と猪王山の話でもあると思う。

同じ人間の久太は人間界に戻ったが、一郎彦はバケモノ界に留まった。これからは猪王山が「ニンゲンの親」として大変なのかもしれない。それでも強い絆で結ばれた家族と共に乗り越えていくだろう。

一郎彦は周囲との違いに思い悩み、親にも相談できなかった。似たようなことは誰しも経験したことがあると思う。一郎彦はそんな思い悩む思春期の子供の象徴的な存在で、誰しもどこか共感できるからこそ高く支持を集めるのかもしれない。

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