【エヴァンゲリオン】に登場するパイロットの1人、『渚カヲル』。見た目は人間の少年そのものでありながら、その正体はなんと使徒?しかし渚カヲルの存在は、主人公たちを苦しめる単なる『敵』ではありません。渚カヲルの秘密や彼の最後について、詳しくご紹介します。
目次
『渚カヲル』という謎多き人物について
『渚カヲル』のプロフィール
『渚カヲル(なぎさかをる)』、過去の経歴は生年月日を除いて全て末梢済み。もうこの時点で怪しさ満載ですね。【エヴァ】の作品背景において、個人の情報はバッチリデータ化されているはずなのにも関わらず謎だらけ…。確実に物語のキーパーソンの予感です。
ちなみに、唯一開示されている情報の「誕生日」ですが、『セカンドインパクト』と同一日の2000年9月13日となっております。カヲルと同じような境遇といえば、零号機パイロットである『綾波レイ(あやなみれい)』も同じく過去の経歴は末梢済みですね。
カヲルの身長は主人公である『碇シンジ(いかりしんじ)』よりちょっと背が高いくらい。シンジが157cmなのでだいたい160cm前後でしょうか?体重も見た感じシンジと同じような体型ですから、ほぼ同じようなものではないかと思われます。
お節介ですがもうちょい肉付いた方がいいと思う…くらいの細さで心配ですね。
外見的特徴として、アッシュグレイの髪、赤い瞳、そして白すぎる肌が特徴的です。
公式において「ぞっとするような美貌の持ち主」とまで表記されている、正真正銘の美少年なのです!肌の白さでは作品中で1番かと思われたレイの上をいく設定なんだとか。
肌の白さや瞳の色は『綾波レイ』、不敵に笑う口元は『アスカ』(旧世紀版では『惣流(そうりゅう)・アスカ・ラングレー』、新劇場版では『式波(しきなみ)・アスカ・ラングレー』)、細く長い首は『碇シンジ』に似た容姿を持っています。このパーツごとに似ている点は、渚カヲルの正体において重要な設定となっています。
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『渚カヲル』の性格
常に穏やかな微笑を浮かべ、人当たりも良く社交的な性格です。…が、柔和な印象を与えつつも、どこか油断の出来ない怪しい印象がぬぐえません…。社交的とは言いましたが、アニメ作品中においてカヲルが積極的に関わろうとするのはシンジのみ。他の人物とはほぼ接触する描写がありません。
少年の容姿をしていながら、その態度はとても15歳の少年のものとは思えない程に達観しています。シンジとの会話においてもちょいちょい難解な単語や表現が使われたり、文学的ともいえるような比喩表現が多用されたり…。あまり口語的な表現とはいえないですね。簡単に言ってしまうと非常に大人っぽい少年、それが『渚カヲル』です。
この世があまりにもカラフルだから、
ぼくらはみんないつも迷ってるんだと思うよ。 pic.twitter.com/gtFdzJqgk4— 渚カヲル (@kaworu_last1) January 28, 2019
旧世紀版、新劇場版ともに音楽について非常に興味を持っています。旧世紀版ではシンジとの出会いの場面で鼻歌を口ずさみ「歌はリリン(人間)の生み出した文化の極み」とまで評するほど。新劇場版ではシンジとの交流においてピアノの連弾を行う等、音楽が象徴的に取り入れられています。
ちなみにキャラクター設定を手がけられている『貞本義行(さだもとよしゆき)』先生が描かれる漫画版においては、カヲルの性格は少々アニメ版とは異なる部分もあります。
元々キャラクターを考えている際、カヲルについては子供っぽいキャラをイメージしていたようで、どちらかというと人間に近い感情を持ったカヲル君のように見受けられますね。こうしたメディアの違いによる相違を味わうのも楽しいです!
『渚カヲル』の正体とは?
さて、そんな『渚カヲル』の正体は…?大方の予想通り、「人間」ではありません。『渚カヲル』の正体は人類の敵と認識されている『使徒』!『第17使徒タブリス』なのです!しかもそれだけではなく、さらにさらに渚カヲルの魂は『第1使徒アダム』本人のものだと…。ややこしくなってきましたね。
カヲル君の肉体はセカンドインパクト時にアダムによって生成されたものであり、身体はつまり第17使徒タブリスなんですね。でも魂はアダム…。もともとアダムの復活を目指す計画のため、秘密結社『ゼーレ』から特務機関『ネルフ』へと送り込まれたカヲル君。彼自身は自分の存在や人類の今後について独自の思いがあるようです。
そんなカヲルが特別に好意を寄せた人物が主人公のシンジ。なぜカヲル君がシンジ君に好意を持ったのか、具体的には分かりませんが、その好意は「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」とまで言ってしまうほどのものです。
特に新劇場版では、まだ出会っていない段階からシンジの事を一方的に認知していたこともあり、『渚カヲル』という肉体を持った時点ですでにシンジの事を知っていたのではないか?とも思われます。
ちなみに先述していたカヲルの容姿についてですが、パーツごとにエヴァのパイロットに似ているということでした。これはエヴァンゲリオンによって今まで使徒と接触したパイロットの容姿を、少しずつ踏襲したキャラクター案なのです。
「最後の使徒」という事もあり、キャラクター設定の段階からこうした様々な工夫がされていたようですね。
『渚カヲル』この名前に、伏線が隠されていた!?
「渚カヲル」という名前は、脚本家である薩川昭夫(さつかわあきお)さんによって命名されました。
「渚カヲル」の「渚」を左右に分けると、「シ者」という文字に。また「カヲル」を50音順で1文字ずつ前に変えると「オワリ」となります。つまり、最後の使者と隠喩されているものになっています。
『渚カヲル』は完璧なもう1人の『碇シンジ』?
初めまして、お父さん【渚カヲル】 pic.twitter.com/oo9Gzmt9A9
— エヴァbot (@takatanien10) January 28, 2019
【エヴァンゲリオン】という物語の中で、かなりの重要人物と言えるカヲル君ですが、その登場回数は驚くほどに少ないのです。旧世紀版では第弐拾四話と劇場版のみ。新劇場版では序ではラストシーン、破では3シーンのみであり、Qでようやく中心人物として登場です。
そんな少ない登場回数にも関わらず、シンジ君の心に大きな影響を与えた人物がカヲル君。『渚カヲル』というキャラクターを創り上げる際、シンジと対比する形で「もう1人の碇シンジ」という性格をもたせたのだとか…。
正直主人公というにはちょっと頼りないのが『碇シンジ』という線の細い少年。シンジを「不完全な自分」と位置付けることで、対するカヲルは「完全なシンジ」という位置に立ったのです。
エヴァの物語にはまだまだ多くの謎があり、お話がエンドレスで繋がっていくのか、パラレルワールドなのか、はっきりとしたことは分かりません。ですが、そんな中でずっとカヲルとシンジは2人で1つの存在なのではないか。
いつの時もカヲルとシンジは出会い、自分にはないお互いの中に存在する自分の姿に惹かれているのではないか、とも考えられます。
旧世紀版での『渚カヲル』の最後
旧世紀版でのカヲルは、『フィフス・チルドレン』としてゼーレより派遣されます。派遣直後に傷心のシンジに接触し、(ベートーヴェンの交響曲第9番を口ずさみながら)その後もシンジに対して好意的な態度を示していきます。
そんなカヲルの態度にシンジも心を開いていき、2人は友情のようなものをお互いに感じるようになりますが…。しかしカヲルは使徒…。彼は大人たちの計画の1つでしかなく、自分に与えられた使命を果たすためにネルフのターミナルドグマへと侵入していきます。
この時のシンジはカヲルに「裏切られた」とひどく感情的になっています。使徒であるカヲルを止めるため、シンジは初号機でカヲルを追いかけます。そして、最後には、カヲル自身が願ったこともあり初号機の手でカヲルの身体を握殺…。
直接的な描写はありませんが、握りつぶす音のあとにカヲルの首から先、頭部らしきものが落ちていくカットはひどく印象的です。
アダムである渚カヲルは、使徒にはない知恵の実を持つ人間に興味があった。そのためシンジ(人間)に親愛の情を抱き、最終的には自身の死をもって人間(シンジ)を生かす道を選んでいます。
旧世紀版では、シンジ自身がカヲルをその手で葬っています。いたしかたない背景があったことは確かですが、こうした点で非常にショッキングな内容ではありました。
新劇場版での『渚カヲル』の最後
そんな顔をしないで。また会えるよ、シンジ君【渚カヲル】 pic.twitter.com/U4HfYJl7V5
— エヴァbot (@takatanien10) October 8, 2014
新劇場版では、シンジがレイを助けたことにより起こってしまった『ニア・サードインパクト』から14年後の世界で初めてカヲルとシンジは出会います。14年の間眠り続けていたシンジは、周囲の状況が急変して孤独の真っ只中…。そんな中で優しく接してくれたカヲルに心を開いていきます。
自分のしたことが世界を荒廃させてしまった事実に打ちのめされるシンジに対し、2人で世界を修復しようと「エヴァ13号機」への搭乗を促すカヲル。
シンジが付けられていた爆弾付きの「DSSチョーカー」を外し、(本当は簡単に外せるようなものではないはずなんですがね…さすがです。)それを自分自身の首につけることで決意を示します。そんなカヲルを前に、シンジもやっと立ち上がるのでした。
セントラルドグマにある『ロンギヌスの槍』と『カシウスの槍』、この2つが世界の修復には必要という事で、カヲルとシンジがダブルエントリーシステムを搭載している13号機で回収することになります。
しかし槍が2本とも『ロンギヌスの槍』へとすり替えられており、世界を修復するどころか新たに『フォース・インパクト』を引き起こす引き金に…。
エヴァが覚醒してしまったことにより、カヲルの首に付け替えていた「DSSチョーカー」も作動。カヲルは爆発までのわずかな時間で隣のシンジに笑いかけます。
「そんな顔しないで。また会えるよ、シンジ君。」という言葉を最後に、カヲルの首はシンジの目の前で吹き飛んでしまうのでした。
圧倒的存在感!『渚カヲル』の願った未来とは…?
希望は残っているよ。どんなときにもね【渚カヲル】 pic.twitter.com/ZSAnNlNkXM
— エヴァbot (@takatanien10) January 28, 2019
旧世紀版でも新劇場版でも、渚カヲルの最後は「死」という形で幕を閉じます。特に旧世紀版のテレビシリーズにおいては、渚カヲルは26話もあるお話の中で第弐拾四話にのみ登場するという少なさ。
それでも圧倒的存在感で『渚カヲル』という人物はシンジと視聴者の心に強く残りました。
第1使徒でありながら、人間という存在に強く惹かれる…。そして自らの運命や人類の運命を憂いながらもシンジ(人類)が幸せになる世界を望む…。
新劇場版においてもカヲルの首が跳ぶ状態で死を迎えるのは、エヴァの世界においてこの事実は避けられないという暗示なのでしょうか?
カヲルの願うシンジが幸せになれる世界。いよいよ最終章を迎えるエヴァンゲリオン、世界はどのような形で終着を迎えるのでしょうか。2020年公開予定の『シン・エヴァンゲリオン劇場版: :||』が待ち遠しいですね。