現在アニメ放送中の新サクラ大戦。新しい帝国華撃団の総司令は、あの懐かしい帝劇のトップスタァ・神崎すみれです。現役時代はわがまま・高飛車のイメージが強かった神崎すみれが、今作ではどうなっているのか。華撃団隊員時代の神崎すみれを振り返りながら解説していきましょう。
目次
神崎すみれとは?
新生・帝国華撃団の総司令
新サクラ大戦の物語が始まる10年前、「降魔大戦」と呼ばれる大きな戦いがありました。この戦いで、世界は救われたものの、帝都、巴里、紐育に設立されていたこれまでの華撃団は消滅します。
しかし、ただ1人だけ、旧華撃団のメンバーで消滅を免れた人物がいました。それが神崎すみれ(かんざき すみれ)。元帝国華撃団の隊員にして、帝国歌劇団のトップスタァだった人物です。
何故、神崎すみれだけが生き残っていたのか、今の神崎すみれはどんなことをしているのか。帝国華撃団の隊員として、そして帝都の誇るトップスタァとして、輝いていた現役時代のことを交えながら見ていきましょう。
帝国華撃団総司令にして大帝国劇場の総支配人
壊滅後の花組の立て直しに尽力する
現在の神崎すみれは、帝国華撃団の総司令であると同時に、大帝国劇場の総支配人の座に就いています。かつてのサクラ大戦の米田一基(よねだ いっき)司令のポジションですね。
降魔大戦後、神崎すみれは壊滅した花組の立て直しに奔走することになります。詳しい描写はありませんが、各地から花組の隊員として戦う素養のある人間をスカウトしたり、役者のいなくなった大帝国劇場を維持したりと、想像は難しくないでしょう。
初代サクラ大戦では16歳の少女だった神崎すみれも、新サクラ大戦では33歳。高飛車な性格もすっかり鳴りを潜め、落ち着いた大人の女性、という風格を感じさせる佇まいになっています。かつての神崎すみれを知るファンからすれば、「大人になった」と納得の成長なのかもしれません。
神崎財閥の一人娘
気位の高さはこの出自が原因
神崎すみれの実家は、神崎財閥という日本有数の大富豪です。神崎家は、祖父の神崎忠義(かんざき ただよし)が第一次世界大戦の大戦景気によって急成長させた、神崎重工という会社を運営してきました。この神崎重工では、帝国華撃団の隊員が乗る霊子甲冑の開発等も行っています。
神崎財閥の一人娘として生まれた神崎すみれは、幼い頃から学力、華道、茶道、舞踊等、様々な英才教育を受けてきました。もちろん天才的な才能はありますが、水面下での努力を惜しまないのが神崎すみれです。最も、本人は努力している姿を、人に見られることを嫌っているようです。
ですが、その努力を人に見せたがらない姿勢と、幼少期に多忙な両親の不在が多かったことが合わさり、寂しがり屋な内面も持ち合わせています。劇中でも、プライドが高く、ツンツンした態度が目立ちましたが、一方で気を許した相手には面倒見が良く、歩み寄る姿勢を見せていました。
元旧帝国華撃団の隊員
神崎重工でテストパイロットを務めていたことも
神崎すみれは幼少期から高い霊力を有していました。学生時代には、神崎重工で開発していた降魔と戦うための機体である「試作霊子甲冑・桜武」の起動実験に偶然居合わせた時、誰も起動すらできなかった桜武の起動に成功しています。このことから、神崎重工で霊子甲冑のテストパイロットをしていた経歴があります。
ある事件から、祖父の神崎忠義との間に生まれた軋轢をきっかけに、実家を出奔。そのまま、後に帝国華撃団副指令となる、藤枝あやめ(ふじえだ あやめ)にスカウトされる形で帝国華撃団へと入隊します。
隊員時代は、同じ帝国華撃団隊員の、桐島カンナ(きりしま かんな)と喧嘩をしていたことが非常に印象的です。何かにつけてよく口論から始まり、取っ組み合いになっていましたが、これは嫌っているよりは、本音をぶつけ合えるライバルとしての間柄でした。
現役時代の神崎すみれの軌跡
帝国華撃団での戦いの日々、そして…
藤枝あやめにスカウトされて、帝国華撃団に入隊した神崎すみれでしたが、後に帝国華撃団の隊長となる大神一郎(おおがみ いちろう)が就任してくるまでは、ツンケンした態度が目立っていました。TVアニメ版では、原作のコミカルな描写が大分カットされていたせいか、よりギスギスしていたように感じます。
初代での大神一郎との出会い、そして初代の敵組織である黒之巣会との戦いを経て、華撃団の仲間達との絆を深めていきます。2では実質的な登場は3話からになり、突然祖父の意向でお見合いさせられることになりました。その後、神崎邸へと乱入した大神一郎や桐島カンナによって、強制的に結婚させられることにはなりませんでした。
3では、巴里華撃団の隊長として活動するべく、巴里へと出張していた大神の力となるために、ゲストという形ではありますが、巴里へと赴いています。そして、4での大きな戦いを経て、自身が神崎グループの唯一の後継者であることを自覚し、更に自身の霊力の衰えを自認。帝国華撃団の引退を決意しました。
何故神崎すみれだけが残ったのか?
仲間達との無念の別れ
神崎すみれは引退後も、ニンテンドーDS用ソフト「ドラマチックダンジョン サクラ大戦 〜君あるがため〜」等の番外編では、帝都の危機を救うため一時的に、という形で復帰していたようです。引退していても、この様な事態を見過ごせないというのは神崎すみれらしいと言えるでしょう。
そして、新サクラ大戦本編開始前の最大の事件とも言える、降魔大戦。この時も、神崎すみれは一時的に復帰して、作戦に参加していました。降魔大戦では二都作戦という、強大な力を持つ「神器」の力を使い、幻の帝都である「幻都」を作り出して戦って、最大の敵である「降魔皇」を幻都に封印する作戦が展開されることになります。
しかし、作戦の最終段階で、神器の発動には莫大な霊力が必要であり、帝都・巴里・紐育の華撃団全員の霊力を用いてどうにか発動には成功しました。ですが、霊力の衰えが来ていた神崎すみれは、先に霊力が枯渇し、この神器の発動に参加することができませんでした。そして神器を発動させた華撃団全員は、降魔皇と共に幻都に封印されてしまったのです。
これが、10年前に起きた降魔大戦、そして全華撃団消滅の真実であり、神崎すみれがただ1人だけ残された理由でした。彼女ほどプライドの高い人間が、仲間達と共に最後まで戦えなかったということは、さぞかし無念だったでしょう。
神崎すみれの引退記念公演
神崎すみれの引退を讃える特別作品
劇中で引退を決めた神崎すみれのための、特別記念OVAが製作されています。神崎すみれが自身の霊力が衰えて、徐々に戦えなくなっていることを自認するところから始まり、当時の総司令である米田一基に引退を表明します。
自身の認めるライバルである桐島カンナに華撃団としての後を託し、役者として輝き始めた真宮寺さくら(しんぐうじ さくら)に歌劇団としての後を託して、皆に惜しまれながら神崎すみれは引退していきました。「光り輝く神崎すみれを、光り輝くまま引退させてください」というセリフは、まさにトップスタァらしいセリフでした。
また、サクラ大戦の声優さん達が送る歌謡ショウでも、引退記念公演「春恋紫花夢惜別」が上演されています。まさしく、サクラ大戦というコンテンツの全てを以て盛大に送り出したのでした。
神崎すみれの秘書・竜胆カオル
神崎すみれを支える秘書
大帝国劇場を取り仕切る神崎すみれですが、その仕事を支える秘書を1人傍に置いています。それが竜胆カオル(りんどう かおる)です。主に大帝国劇場の事務や経理を担当する敏腕秘書です。
帝国華撃団としては、前線の花組と違って後方支援を担当する風組に属しています。様々な要職に就く神崎すみれを支える、まさに支援のエキスパートと言うべきでしょうか。竜胆カオル本人も。神崎すみれに心酔しています。
しかし、デザインセンスだけは常人と一線を画しているという欠点があります。劇中でも大帝国劇場のマスコットキャラクター・ゲキゾウくんのデザインを担当していいますが、肝心の神崎すみれに対してもあまり良く思われてはいないようです。
神崎すみれの搭乗機体は?
テストパイロット時代も含めて多岐にわたる
神崎すみれは神崎重工でテストパイロットをしていた時から、様々な機体に搭乗しています。世界初の霊子甲冑である「桜武」や、桜武を改良して作られた「三色スミレ」がテストパイロット時代に搭乗していた機体です。
初代サクラ大戦では、三色スミレのデータを基に、帝国華撃団で初めて運用された霊子甲冑「光武」、そして光武の後継機である「神武」に乗っています。2では、初代の最終決戦時に大破した光武を回収・改良した「光武・改」、そして更に強大な敵に立ち向かうために、蒸気・霊力に加えて都市エネルギーという第3の力まで利用する「天部」に搭乗しました。
旧シリーズの最終作となる4では、3で巴里華撃団が乗ることとなった、「光武F2」を改良した「光武二式」。そして最後に、ヒロインルートで大神一郎と同時に搭乗する、唯一の複座式である「双武」があります。ちなみに、ほとんどの場合、機体はパーソナルカラーである紫色となっています。
霊子甲冑は、テストパイロットである神崎すみれのデータを基に調整・開発されてきたものです。神崎すみれなくして、帝国華撃団が降魔と戦う機体を得ることはできなかった、と言っても過言ではないでしょう。
神崎すみれの必殺技は?
薙刀を武器にした必殺技を扱う
神崎すみれは薙刀の達人でもあります。神崎風塵流という流派を修めており、免許皆伝を受けるほどの実力者です。霊子甲冑の武器も、当然薙刀となっています。
必殺技は一律「神崎風塵流・〇〇の舞」と名付けられており、〇〇の部分には胡蝶・鳳凰・孔雀などの名前が入ります。サクラ大戦恒例の合体攻撃では、大神一郎との愛をテーマにした合体攻撃が中心でした。
バトルパートがアクションゲームの新サクラ大戦とは違って、旧作シリーズは戦略シミュレーションです。神崎すみれの必殺技は、どれも自身を中心とした広範囲への攻撃であり、混戦や雑魚敵の多いマップでは重宝しました。
神崎すみれのここがかわいい!
プライドの高いお嬢様の「デレ」
先程も軽く解説しましたが、神崎すみれはプライドが高く、周囲に対して高圧的な態度を取りがちなところがあります。最初はキャラクター的に見るならば、典型的な「ツンデレ」に見えるかもしれません。
しかし、シリーズを通してみると、初代で大神一郎に対して気を許してからは、2以降のシリーズでは好意を素直に表現している場合が多くなっています。2でのお見合い事件が起こる前日には、真っ先に大神一郎に通信を入れていたほどです。
好意的な表現も動的、というよりは静的なイメージが強く、「かわいい」よりも「美しい」というイメージを受けるのが神崎すみれの魅力的なところですね。
神崎すみれのCVは富沢美智恵
神崎すみれの声優を務めるのは、青二プロダクションに所属している富沢美知恵(とみざわ みちえ)さんです。美少女戦士セーラームーンシリーズの火野レイ役や、クレヨンしんちゃんのまつざか梅役を担当しています。
2001年に結婚したときに、声優業の方を一時的に抑えることになり、神崎すみれ役を降板。この事が直接的な原因となり、急遽神崎すみれの引退が決まったのでした。
その後、富沢美知恵さんは通常通りの仕事に戻りましたが、引退を描いてしまった神崎すみれの事実は変更ができません。なので、その後のサクラ大戦が関わる作品で神崎すみれが登場する場合は、一時的な復帰という扱いになっています。
アニメ・新サクラ大戦での神崎すみれ
帝国華撃団を守るために活動中
現在放映中のアニメ版新サクラ大戦でも、神崎すみれの活躍が描かれています。謎の壊滅事件を起こした莫斯科華撃団の、唯一の生き残りであるクラーラを見習いとして引き取ることになった帝国華撃団。
直後に新生莫斯科華撃団を名乗る怪しい一団が登場し、クラーラの引き渡しを要求してきますが、神崎すみれは流石に不審に思っている様子でした。彼女なりに、新生莫斯科華撃団の裏を探ろうとしているようですが…
帝国華撃団を纏め上げる総司令・神崎すみれ
総司令として、現在の帝国華撃団を纏め上げている神崎すみれ。しかし、その総司令として活動している裏側には、降魔大戦での非情な結末と、帝国華撃団としての「皆の戻ってくる場所を守る」という決意がありました。
神山誠十郎(かみやま せいじゅうろう)が来て、帝国華撃団が復興するまで、神崎すみれがどれほどの苦難を乗り越えてきたのか、想像することしかできません。ですが、神崎すみれはこれからも、今もまだ幻都の中で戦っているかつての仲間達の事を想いながら、自身もまた別の戦場で戦っていくのでしょう。