【さよなら絶望先生】伏線まとめ&解説&最終回【ネタバレあり】

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『さよなら絶望先生』はギャグ漫画ながら、ラストに予想外のシリアス展開を描いた作品です。本作は、ラストで明かされる真実に関する伏線描写が、連載開始時からそこかしこに散りばめられていました。本記事は、『さよなら絶望先生』の最終回と結末を、伏線に触れながら解説したいと思います。

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目次

『さよなら絶望先生』とは?

さよなら絶望先生(1) (週刊少年マガジンコミックス)

『さよなら絶望先生』は、久米田康治(くめだこうじ)先生が描いていた漫画作品。『かってに改蔵』や『かくしごと』などでも有名な、作者の代表作です。以前は「週刊少年サンデー」で活躍していましたが、本作から「週刊少年マガジン」に移っています。

『さよなら絶望先生』は、2007年のアニメ化をきっかけに、一躍有名となりました。人気の秘訣の1つは、アニメを手掛けた制作会社シャフトの独特の演出が挙げられます。アニメ各期のOP映像をはじめとした奇抜な表現は、本作のダークな雰囲気を見事に表現していました。もちろん作品自体も面白く、ギャグ以外にラブコメなどもあったりと、いろいろと楽しめる作品となっています。

『さよなら絶望先生』はどのような結末を迎えたのか?

『さよなら絶望先生』は、メタギャグや社会風刺満載のブラックコメディ作品。作風は、あるテーマについて皮肉やギャグを展開する、1話完結形式となっています。こうした本作は、2012年に結末を迎え、約7年間の連載を終えました。

毎回1話完結の作品は、終わらせ方に工夫が必要です。最終回では、毎回オチが付く内容をうまく総括しなければなりません。その点、『さよなら絶望先生』は1話完結ながら、作中の根底に大きなストーリーが流れていました。本作は、そのストーリーを締めくくることで幕を閉じたのです。

では、『さよなら絶望先生』はどのような結末だったのでしょうか。本記事では、ネタバレを含めて詳しく解説していきます。

『さよなら絶望先生』は最初から伏線だらけ!

『さよなら絶望先生』は、原作漫画のラスト5話で話を大きく方向転換させています。これまで展開されてきたギャグものから一変して、シリアス路線となっているのです。しかし、この変更は決して突然のことではありません。作者は『さよなら絶望先生』連載開始時からラストを考えており、それに向かって動き出しただけなのです。

『さよなら絶望先生』の作中には、本作のラストに繋がる伏線が随所に散りばめられていました。それこそ、物語が始まった当初から、伏線が張りめぐらされています。そして、物語の結末として、ラスト5話で一気に伏線回収を始めたのです。『さよなら絶望先生』は、非常に細やかな計算によって作られた作品といえます。

『さよなら絶望先生』の伏線まとめ【ネタバレ注意】

ここからはいよいよ、『さよなら絶望先生』の結末に触れていきます。まずは、本作の結末自体をみる前に、結末の伏線となっていた部分を整理しておきましょう。

以下にまとめた伏線は、大きく以下の2つにカテゴライズすることができます。すなわち、風浦可符香(ふうらかふか)に関するものと、「絶望少女」に関するものです。『さよなら絶望先生』の準主人公である風浦可符香は、ストーリーの中心となる人物。彼女と、彼女を含む「絶望少女」こそが、本作の核心なのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その1:小節あびるの見たフラッシュバック

小節あびる(こぶしあびる)は、「絶望少女」の1人である包帯少女。眼帯をしている彼女の左目は、角膜移植手術を受けています。しかし手術以降、彼女には角膜の“元の持ち主”の経験のフラッシュバックが起きていたのです。

その後彼女は、左目で鏡を見ると、目の前に風浦可符香が映るようになってしまいました。これは、角膜の“元の持ち主”が風浦可符香だったことをほのめかしています。また、このシーンが描かれて以降、風浦可符香は一切登場しなくなりました

『さよなら絶望先生』の伏線その2:予告編の島

『さよなら絶望先生』の原作単行本第一集(第1巻)には、連載前の予告編が収録されています。本作は、単行本に本編以外のコンテンツが多く収録されており、予告編もその1つ。この予告編は、当初はネタコンテンツの1つだと考えられていました。しかし実際は、本編のラストの舞台を描いたものだったのです。

予告編は、ある島を舞台とした話となっています。この島こそが、『さよなら絶望先生』の主人公、糸色望(いとしきのぞむ)が新たに着任した島だったのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その3:天使の羽根

島の少年ヒロシは同級生から、「ヒロシはまだ生きてる」と言われています。そんな彼の周りには、天使の羽根が舞っていました。消えた代わりに現れた風浦可符香のシルエットの周りにも、羽根が舞っています。

このことから、天使の羽根は、“生”を表すものだと考えられていました。しかし、小節あびるの角膜が風浦可符香のものであれば、彼女が生きているとも思えません。従って、天使の羽根は“半端に死んだ”成仏していない魂の未練も含めて指していると捉えられるのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その4:0.001秒の天使

0.001秒の天使とは、過去に糸色望の前に現れた、風浦可符香そっくりの天使。彼女は糸色望にしか見えず、他の絶望少女たちには認識できません。

0.001秒の天使は、糸色望の生存本能の具現化として現れたもの。『さよなら絶望先生』における天使や羽根は、生に執着するものを意味しています。つまり、彼はこの世に未練を持った霊を宿していると考えられるのです。しかも、彼女は彼自身にしか見えないことから、風浦可符香とは異なる存在でしょう。

『さよなら絶望先生』の伏線その5:「昭和」が続く時代設定

『さよなら絶望先生』は、「昭和」の元号が続く現代日本という時代設定となっています。しかし、実はこの設定もまた、『さよなら絶望先生』のラストに掛かる伏線の1つなのです。

糸色望が受け持つ「2のヘ組」の絶望少女たちは、現世に未練を残した魂を宿した者たち。彼女たちは、魂の依り代となって学校生活を送り、成仏させようとしていました。「昭和」という設定は、魂が生きた時代を再現し、成仏しやすくするためのものだったのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その6:風浦可符香(P.N)という名前

風浦可符香は絶望少女たちのためのP.N(ペンネーム)であり、実際の名前ではありません。彼女の本名は、赤木杏(あかぎあん)。そして、P.Nには、P.N(パーソナリティー)というもう1つの意味が隠されていました。

絶望少女たちには、偶然にも赤木杏の身体の一部を移植されているという共通点があります。そして、彼女たちが見ていた風浦可符香は、この移植をきっかけとしたもの。つまり、風浦可符香は絶望少女たちが共有する1人の人格(P.N)だったのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その7:1人足りない絶望少女

10人以上からなる絶望少女にはもちろん、風浦可符香も含まれています。しかし、彼女が登場している場面をよく見ると、残りの絶望少女の1人が必ず登場していないのです。

風浦可符香は、赤木杏の一部が移植された絶望少女が演じるものでした。彼女たちは、風浦可符香の人格が現れた者を風浦可符香として認識します。その人格は、絶望少女たちの間で代わる代わる出現していました。1人足りない絶望少女は、そのとき風浦可符香として登場していたのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その8:「結論 出ちゃってるんじゃないですか?」

『さよなら絶望先生』は、一種のラブコメ作品でもあります。見出しのセリフは、風浦可符香が糸色望に対して言ったものです。彼女が、彼に好意を寄せる女子のうち誰を選ぶか決めるべきではと言うと、彼は無言で彼女を見つめました。「結論 出ちゃってるんじゃないですか?」とは、見つめられた彼女が彼に言った言葉です。

以上のことから、糸色望は風浦可符香に恋心を抱いていることが分かります。そして、両者の恋模様は、最終回のラストシーンに直接繋がっていくのです。

『さよなら絶望先生』の伏線その9:アニメ『さよなら絶望先生』の各期OP映像

『さよなら絶望先生』の伏線は、アニメ版の各期OP映像にもありました。アニメ第1期OPでは、「アタシがいるよ、気付いて」の歌詞と共に、妊娠した風浦可符香が登場。これは、彼女と絶望少女たちの関係性や、消えた彼女の想いが示されています。

第2期OPの臓器が描かれたカットは、風浦可符香の臓器にしか見えません。OVAの第2.5期では、絶望少女たちが彼女に変わるという演出もありました。彼女と絶望少女たちの繋がりが感じられるでしょう。

『さよなら絶望先生』の4つの結末【ネタバレ注意】

『さよなら絶望先生』には、4つのエンディングが存在します。ラストに至る一本道のストーリーには、最終回のような4つの区切りが用意されました。作者の久米田康治は、結末をバス停に例えて、「降りるところは選べます」と述べています。つまり、『さよなら絶望先生』は4つの中から好きな結末を選ぶことができるのです。

なお、4つの結末は、鬱(うつ)エンドハッピーエンドが交互に用意されています。はたして、4つの結末とはそれぞれどのようなものなのでしょうか。

『さよなら絶望先生』の結末その1:絶望少女全員死亡

『さよなら絶望先生』が迎える最初の結末は、絶望少女全員死亡という衝撃的なものでした。3月、絶望少女たちは卒業を迎えます。しかし、卒業写真には風浦可符香だけが写っていませんでした。

卒業式当日、絶望少女たちの名前が読み上げられます。けれども、糸色望が読み上げたものは彼女たちの名前ではなく、戒名でした。戒名とは死者に付けられる名前であることから、彼女たちは死んでいたことになります。この絶望的な鬱エンドこそが、第1の結末です。

なお、第1の結末が描かれた原作第298話時点で、風浦可符香の生死は不明。すなわち、卒業していない彼女だけが生きている可能性があるのです。

『さよなら絶望先生』の結末その2:まさかのハーレムエンド

次なる結末は、一転してハッピーな内容でした。死んでいたかと思われた絶望少女たちは、なんと生きていたのです。

絶望少女はみな、過去の自殺未遂を機に、霊に憑依(ひょうい)された者ばかり。彼女たちは糸色望に協力して、霊の成仏のために学校生活を送っていたのでした。

魂を“卒業”させた絶望少女は、既に他人同士。しかし、偽りの学校生活は、いつしか彼女たち自身の学校生活となっていました。彼女たちにとって、「2のヘ組」はかけがえのない場所なのです。

絶望少女たちは、そんな居場所をくれた糸色望を慕い、島まで追いかけてきました。このように、第2の結末は大団円のハーレムエンドとなっています。

『さよなら絶望先生』の結末その3:消えてしまった風浦可符香

『さよなら絶望先生』第3の結末では、ついに風浦可符香の正体が明らかになります。風浦可符香とは、絶望少女たちがある同一人物から臓器提供を受けたことで現れた共有人格。そして、そのドナーの少女こそが、赤木杏です。

赤木杏は実在の少女でしたが、交通事故で死んでしまい、絶望少女たちに臓器を提供します。風浦可符香という名は、レシピエントに本名を教えられないために付けられたペンネーム。そして、周囲に天使の羽根がある彼女は、この世に未練を残しています。

風浦可符香が消えたタイミングは、小節あびるが赤木杏の存在に近づいた直後。彼女が消えたのは、彼女が共同幻想の中の人格であることを強調するためのものだったのでしょう。

『さよなら絶望先生』の結末その4:教会で糸色望を待つ者

第4の結末は、『さよなら絶望先生』らしいラストとなっています。“卒業”を迎え、共同幻想から解き放たれた絶望少女たちは、風浦可符香を忘れつつありました。しかしそれでも、彼女は絶望少女たちの中に生き続けていたのです。

絶望少女たちは、用意したウェディングドレスに着替えて糸色望のもとへ。そして、全員で彼に死後結婚を迫るのでした。
彼女たちから逃げてきた彼は、とある教会の中へと入ります。そこには、見慣れた特徴的なヘアピンを胸に付けた、ウェディングドレスの姿の少女がいました。

糸色望は彼女に、「あなたは誰のカフカさんですか?」と尋ねます。そのときの彼は、目の前の彼女に優しく微笑んでいました。

『さよなら絶望先生』の最終回を解説【ネタバレ注意】

『さよなら絶望先生』のラストに用意された、4つの結末について紹介しました。ここからは、その結末を踏まえたうえで、最終回を詳しく解説していきます。

『さよなら絶望先生』の原作最終回で描かれたものは、第4の結末と、風浦可符香及び赤木杏の行く末。教会で糸色望が見た少女は、誰が演じる風浦可符香だったのでしょうか。この少女の正体についても、考察を交えて掘り下げていきます。

最終回までのあらすじ

突然姿を消した風浦可符香は卒業写真にも写っておらず、卒業式当日も不在。その卒業式とは、絶望少女たちに憑いた霊を成仏させるための、供養の儀式でした。霊を“卒業”させた糸色望は、次の依頼先である島へと向かいます。

絶望少女たちは糸色望に付いていきましたが、風浦可符香だけがいませんでした。ここで、風浦可符香は幻想による共有人格であることが明らかに。風浦可符香という名前は、赤木杏という少女の別名。赤木杏は交通事故で亡くなっており、この世に未練を残していました。

風浦可符香、そして赤木杏だけが結末を迎えられていません。そうした中、彼女が迎える結末について、ある推測が語られていくのでした。

赤木杏とは何者だったのか

風浦可符香を知るためには、赤木杏について知ることが不可欠です。また、両者の関係性は混同しやすいため、あらためて整理しておきましょう。

赤木杏は実在の人物でしたが、高校入学前に交通事故で死亡。彼女の身体は絶望少女たちに移植され、その身体の一部が風浦可符香を見せるようになります。つまり、風浦可符香は赤木杏から生まれた、同じ人格を持った存在なのです。

なお、赤木杏の魂はいまだ、生きていたいという強い想いを抱いています。そんな彼女の霊は、糸色望に憑いていました。彼は自殺の真似事ではなく、彼女の依り代となるために首を鍛えていたのです。よって、教会で見た少女は彼の中の赤木杏だと考えられています。

1着多いウェディングドレス

ここから、最終回本編に踏み込んでいきます。糸色望を追ってきた絶望少女たちは、全員分のウェディングドレスを持ってきていました。しかし、ドレスはなぜか1着分多く、それが誰の分なのか思い出せません。

糸色望の同僚だった新井智恵(あらいちえ)は、風浦可符香は忘れ去られてしまうだろうと推測。“卒業”した絶望少女は共同幻想から放たれて、彼女の記憶は自身のものに置き換わるというのです。1着余ったドレスは、風浦可符香のものでした。

赤木杏は糸色望の中にいて、同一人格ともいえる風浦可符香は記憶から消失。だとすれば、“風浦可符香”はあまりに報われません。また、風浦可符香の結末は赤木杏の成仏にも影響を与えるでしょう。

歌詞付きのトロイメライ

風浦可符香の消失という悲惨な最後は、『さよなら絶望先生』の結末その3として用意されたもの。一方で新井智恵は、風浦可符香が消失ではなく同化することについても推測しています。彼女は絶望少女の中で、同化あるいは転生という形で、再び生き続けていくというのです。

この推測は、絶望少女たちがふいに口ずさんだ“トロイメライ”によって確信へと変わります。本来歌詞のないトロイメライは、風浦可符香によってヘンテコな歌詞が付けられていました。そして、彼女たちはなぜかこの歌を覚えていたのです。

風浦可符香は、絶望少女たちの記憶となって、確かに存在していました。彼女は消えることなく、生き続けていたのです。

赤木杏の想い

風浦可符香は、絶望少女たちの中で生き続けます。同時に、学校生活は彼女にとってもかけがえのないものでした。赤木杏は絶望少女たちと共に、風浦可符香として悲願を果たしたのです。

残るは、糸色望の中の魂のみ。しかし、教会に現れた赤木杏の周りには、まだ天使の羽根が舞っていました。彼女は、最終回終了時点では成仏していないのです。

真相は、『さよなら絶望先生』単行本第三十集のあとがきに書かれていました。ここで赤木杏は、自分は幸せだったと述べており、成仏したことが示唆されています。決定打はおそらく、糸色望の死後結婚の相手に選ばれたことでしょう。彼に好意を寄せていた彼女は、これでようやく成仏したと考えられています。

『さよなら絶望先生』絶望が希望へと変わる物語

『さよなら絶望先生』は、出会ってはいけない2人の物語です。はじめは単に、超ネガティブ教師と超ポジティブ少女の話だと思っていました。しかし本作は、“出会ってはいけない2人”という言葉に複数の意味を持たせていたのです。

死にたかった少女と、生きたかった魂。絶望少女と霊の関係もまた、“出会ってはいけない2人”です。そんな彼女たちを卒業へと導く「絶望先生」は、絶望を叫びながらも、彼女たちの希望そのものでした。

『さよなら絶望先生』は、単なるギャグ作品ではありません。原作ラスト5話の怒とうの展開と伏線回収は、流石の一言です。そして本作は、最後の急展開にたどり着いてはじめて、真に作品を楽しめたと言えるのです。

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