【Fateシリーズ】正義の味方になりたかった男「衛宮切嗣」の活躍と残したもの

カテゴリーまとめはこちら:Fateシリーズ

衛宮士郎に正義の味方という夢を託した男「衛宮切嗣」とはどんな人物だったのか。切嗣の活躍とstay nightで残していたものについて紐解いていく。

記事にコメントするにはこちら

「衛宮切嗣」とは?

RETURN TO ZERO Fate/Zero Original Image Soundtrack

衛宮切嗣(えみやきりつぐ)はFate/stay nightの主人公「衛宮士郎(えみやしろう)」の養父として登場した。
士郎にとっては命の恩人で魔術の師匠であるが、魔術殺しの異名やイリヤの憎しみを買っていたりとstay night内では士郎の印象と違う切嗣の一面を他人から聞くことが多く、その詳細がFate/zeroで語られることになる。

演じている小山力也(こやまりきや)さんはドラマ「24」のジャック・バウアーの吹き替えが世間的にはもっとも有名だろうが、元々俳優として「仮面ライダーBLACK RX」にてデビューした経歴を持つベテラン声優である。
イベントやラジオのトークではお茶目さや自身のいい加減さで笑いを取る、親しみやすさを感じる人でもある。

登場シリーズは?

登場作品は作中故人として登場したFate/stay night、切嗣自身が参加した第四次聖杯戦争を描いたFate/zero、そして英霊としての姿を見せたFate/Grand Orderがある。
他にもプリズマ☆イリヤなどの作品に登場しているが今回は先に触れた3つの作品について掘り下げていく。

Fate/stay nightでの切嗣

正義の味方を継いだ「衛宮士郎」

大火災の中からの生存者として拾われた士郎は考えようによっては切嗣の残したものと言えるかもしれない。
「子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」と、ある月夜に語った切嗣に士郎が「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ」と返したのがFate/stay nightという物語の原風景とも言える。
切嗣がなりたかった正義を胸に士郎は聖杯戦争へと巻き込まれ、自身の在り様と向き合うこととなる。

日常と戦いの場となった「衛宮邸」

士郎が暮らし、桜(さくら)、大河(たいが)、セイバーに凛(りん)と多くの人物と日常を送る屋敷「衛宮邸」は元々切嗣が第四次聖杯戦争の時に拠点として用意したもの。
あるいは聖杯戦争が終われば捨てられていたかもしれないその屋敷は、切嗣が士郎と共に暮らし、いつしか桜や大河が通う穏やかで温かみのある場所となる。

だが、そんな衛宮邸も第五次聖杯戦争が始まれば敵の侵入を知らせる結界しかない屋敷はランサーやキャスターといった敵サーヴァントに襲われ戦場となる。
そんな屋敷を同じ魔術師の屋敷を持つ凜は「人の情を感じる良い結界」だと語った。

士郎を救い、再びセイバーを呼んだ「全て遠き理想郷-アヴァロン-」

FATE / STAY NIGHT ORIGINAL SOUNDTRACK & DRAMA CD GARDEN OF AVALON - GLORIOUS, AFTER IMAGE(2CD) by Animation Soundtrack (2016-03-23)

第四次聖杯戦争にてセイバーを呼び出す触媒として用意された「全て遠き理想郷-アヴァロン-」は士郎を助けるためにその体へと埋め込まれた。
親からの最初の贈り物とも言えるこの宝具は、第五次聖杯戦争にてランサーに襲われていた士郎に図らずともセイバーを召喚する触媒となった。

Fate/zeroでの切嗣

衛宮切嗣が「魔術師殺し」になるまで

当時少年だった切嗣は父である衛宮矩賢(えみやのりたか)と矩賢の魔術研究の助手であるシャーレイと共に、魔術師の息子としては穏やかな日々を過ごしていた。ある日、シャーレイは好奇心から矩賢の作成した試薬を自分に使ってしまい不完全な死徒となってしまう。それを見つけた切嗣に自分を殺して欲しいと懇願するが、初恋の相手でもあるシャーレイに手をかけることが出来ず逃げ出してしまう。その結果、島は死徒で溢れ、それを退治する魔術協会の者たちがかつての島民たちを燃やし尽くしていった。
切嗣を待っていた矩賢から島を脱出した後も研究をやめる気がないと分かった切嗣は父の背中に銃弾を撃ち込む。例え愛した大好きな人であろうと、いずれ多くの命を奪う危険があるのならその1人を殺す…それこそが正しい選択なのだとこの時理解したのだ。

その後、島に来ていた魔術師の1人であるナタリアに拾われた切嗣は矩賢と同じように魔術の研究で他人を巻き込む魔術師たちをナタリアと共に金で雇われ殺していった
そして、ある事件で死徒300人とナタリアが乗った飛行機を被害拡大を防ぐために撃ち落とした。
こうして第2の親とも言える家族を、見知らぬ大勢のために殺したことで「魔術師殺し」衛宮切嗣は誕生したのである。

アインツベルンに呼ばれ、「家族」を得た切嗣

Fate/Zero~ラジオマテリアル ~DJCD1

魔術師殺しの実力を買われアインツベルンと共に第四次聖杯戦争に参加することになった切嗣。そこで妻としてアイリスフィールを、その間にイリヤスフィールをもうける。
それはナタリアを失って以降、鉄の心で魔術師殺しを続けていた切嗣が再び得た「失いたくない大切な人」であった。

妻子と過ごす日々は切嗣にとって幸福なものであったと同時に魔術師殺しとしての冷酷さ、合理性を鈍らせ、それが聖杯の器であるアイリは聖杯戦争の結果に関わらず死なせてしまうこと、切嗣が聖杯を手に入れられなければ次はイリヤが聖杯戦争に参加することになるなどの苦悩とプレッシャーを切嗣に与えることとなる。

聖杯戦争と宿敵「言峰綺礼」

Fate/Zero (5) (カドカワコミックス・エース)

第四次聖杯戦争が開戦する前から切嗣が最大限に警戒していた男が言峰綺礼である。
当時の綺礼は理想と自身の在り方に苦悩する人物であったが、その闇の深さを切嗣は経歴だけから感じ取っていた。

綺礼からの襲撃があったと聞いた時は先に述べた聖杯戦争のプレッシャーとが合わさり、アイリに弱音を吐き、逃げ出そうとさえ言わせた。
それでも久宇舞弥(ひさうまいや)と共にアイリをセイバーのマスターであると見せかけて聖杯戦争を暗躍しケイネスと龍之介(りゅうのすけ)を手に掛けた。

そして綺礼によりアイリと舞弥を失った切嗣は、恨みや復讐でなくただ魔術師殺しの前に現れた「排除すべき障害」として最終決戦にして初の対面である直接対決に赴く。
すべては聖杯による奇跡を手に入れるため、失った命たちを無駄にしないためである。

Fate/Grand Orderでの切嗣

もう1人の「英霊エミヤ」

FGOとFate/zeroのコラボイベント「Fate/Accel Zero Order」にて切嗣の英霊としての姿であるエミヤ〔アサシン〕が実装された。
エミヤ〔アーチャー〕をイメージさせる赤いフードをしているが、当初からコラボCMで使用しているナイフやゲーム中で使う銃器などから切嗣でないかと言われていた。

ざっくりと言ってしまえばアイリと出会わず魔術師殺しを続けた結果、エミヤ〔アーチャー〕と同様に世界の守護者となった切嗣である。その存在はFGOの特殊な状況下でのみ存在するものだとされている。
第四次聖杯戦争が舞台であるコラボイベントでは最初は聖杯であるアイリを殺害しようと主人公とぶつかるが、違う方法で事態を収めようとするカルデアと最終的には共同戦線を取ることになる。
この切嗣はアイリと夫婦になっておらず面識もないが、それでもアイリを殺すことに「どうにも説明しがたい葛藤」があると本人は語っている。

Fateにおいて「正義」を問う原点

Fate/Zero Blu-ray Disc Box Standard Edition

「誰かを救うということは、誰かを助けないということなんだ」
300人を救うために、200人を救わないし邪魔をするならば殺しだってする。それで300人が助かる可能性が上がるのなら躊躇わずに実行した。

士郎が正義の味方として憧れた切嗣は、その過去を紐解けば正義と呼ぶにはあまりにも血塗られていた。だが、多くを救える正義の味方を求めた先にはいつか辿り着いてしまう形でもある。

正義の味方という夢を早々に諦めた男は同じ憧れを持つ者への反面教師とも言える。
それでも、そんな夢を継ぐと言った士郎に切嗣は「安心した」と返した。

憧れを最初に捨てて正義目指した男は、憧れを胸に正義であろうとする少年なら、きっと大丈夫だとその生涯を終えたのだ

記事にコメントするにはこちら