日本歴代興行収入1位に君臨し続け、世界でも人気を誇るジブリ映画「千と千尋の神隠し」には、個性豊かな神様がたくさん登場します。その中でも、ひときわ印象深い神様のひとりが「オクサレ様(河の神)」です。
悪臭を放ちながらも何かを訴える姿、そして献身的な千尋の対応によって本来の洗練された姿を取り戻した「オクサレ様」は、いったい何だったのでしょうか。
目次
「千と千尋の神隠し」ってどんな話?【振り返り】
「千と千尋の神隠し(せんとちひろのかみかくし)」の物語について、簡単に振り返ってみましょう。
主人公は、都会育ちの10歳・荻野千尋(おぎのちひろ)。
ひとりっ子の千尋が両親とともに都会から田舎へ引っ越しで向かう途中、異世界に迷い込んでしまいます。
異世界で豚に変身してしまった両親を助けるために「千(せん)」という名前を与えられ、神様が集う湯屋で働きながら、人間として成長していくという物語です。
オクサレ様って?
今回スポットがあたるオクサレ様とはどんなキャラクターなのでしょうか。
オクサレ様はヘドロを身にまとい、湯屋の主である湯婆婆(ゆばーば)も驚愕の異臭を放つ神様のことです。
オクサレ様は、千尋と湯婆婆が見上げるほどの背丈で、持っているお金もヘドロまみれになってしまうほど。
千尋がヘドロまみれの原因を改名したことで、実際のところはオクサレ様ではなかったのですが、湯婆婆はもともとそういう神様がいるような口調で話していることがわかります。
オクサレ様と千尋はどこで出会った?
前述の通り、「千と千尋の神隠し」のメイン舞台となる湯屋は、神様が訪れる場所です。
リンやハクの様な例外キャラクターを覗き、男性はカエル、女性はナメクジが従業員として働いてます。彼らは、湯婆婆の魔法によって人間の姿に変えられているのです。
オクサレ様は湯屋の客として現れ、湯婆婆に押し付けられる形で千尋が湯屋で初めて接客した神様でもあります。
オクサレ様って実は優しい!?
オクサレ様の登場シーンは限らた部分のみですが、優しい性格であると推測できます。
「千と千尋の神隠し」の作中でも、千尋に手を差し伸べるシーンや自分を助けてくれたお礼に千尋にだけニガダンゴを渡すなど、優しい一面を垣間見ることができます。
オクサレ様の正体がすごい
オクサレ様かと思われていたヘドロまみれの神様は、千尋の尽力によって木彫りのおじいさんの能面の様な顔・身体は竜の本来の姿を取り戻しますが、その際に名前のある河の神であることが判明します。
オクサレ様は千尋を中心にリンや釜爺(かまじい)の助けもあって、無事に薬草の湯に入ることができ、ヘドロから解放され本来の姿に戻ることができました。
ヘドロまみれでオクサレ様と似たような姿になった経緯も、河への不法投棄といった現代社会の問題として、監督である宮崎駿(みやざきはやお)さんの演出により巧みに表現されています。
オクサレ様とハクとの共通点
オクサレ様(河の神)とハクは、どちらも河の神様という共通点があります。
オクサレ様のヘドロが取れて本来の姿である竜の身体が先に登場していることや、後にハクの本来の姿である白竜の登場からの正体が河の神様だったことからも、ハクの招待に触れる伏線だったのかもしれません。
オクサレ様に声優はいるの?
オクサレ様(河の神)を演じたのは、2016年に逝去された作曲家のはやし・こばさんです。
はやし・こばさんは、作曲家だけでなくかつて俳優を経験したことはあるものの、実は声優業は「千と千尋の神隠し」が初めてでした。
オクサレ様(河の神)の登場シーンは短いながらも、存在感がある笑い声を聞くと、本当に「千と千尋の神隠し」が初声優だったことを忘れさせるほど!
はやし・こばさんが演じたオクサレ様(河の神)は、今でも私たちの心を掴んで離しません。
オクサレ様といえば「よきかな」のセリフ
今日は会社で「お疲れ様で〜す」を全部「オクサレ様で〜す」って言ってたのに誰も気づいてくんなかった😞 pic.twitter.com/5HfMRXwLIb
— み (@373edamame) July 13, 2020
オクサレ様(河の神)のセリフといえば、「よきかな」のセリフが印象的です。
オクサレ様の中にゴミがある事を見抜いた千尋。
彼女と湯屋の従業員らの活躍で、オクサレ様が綺麗になり、本当の姿を取り戻します。
その時に千尋をほめたたえ、発せられたのが「よきかな」のセリフなのです。
ヘドロが落ち、本来の姿を取り戻したオクサレ様こと河の神は、満足したのか高笑いでその場を去っていきます。
「よきかな」から考察!オクサレ様は以前も湯屋を訪れていた?
千と千尋のオクサレ様のシーン思い出すな pic.twitter.com/HmcSGF7z9P
— こぐま (@kuma_kuro_kuma) May 10, 2020
「よきかな」という言葉を最初に聞くと、気持ちよく満足した様にも捉えられがちですが、前述の通り実は千尋を褒めたたえたセリフです。
「よきかな」という言葉の本来の意味を国語辞典で調べてみると、「よいと感じてほめる言葉」とあり、本来の意味です。
このことからも、自分が満足した以外にも、自分がヘドロまみれになった原因を突き止め、本来の姿に戻してくれた千尋の仕事を褒めたたえ「よきかな」と発したとも考えられます。
オクサレ様(河の神)は、きっとこれまでに何度も湯屋へ足を運んでいたものの、ヘドロまみれの姿と異臭から、客として湯屋を利用することを拒まれていたのではないでしょうか。
千尋はヘドロまみれで異臭がする自分を追い返すことなく真摯に対応したことで、名のある河の神に戻ることができたオクサレ様(河の神)はとても満足したと推測できます。
元オクサレ様の河の神は千尋に特別なプレゼントを渡す
竜という幻想の生物をいかにリアルに動かすか、スタッフたちは当初かなり戸惑ったと言います。実は、ハク竜がニガダンゴを飲んで暴れ苦しむこの動き、絵コンテには「まな板に留められたうなぎ」と描かれていました!確かにうなぎのような動きですね!#千と千尋の神隠し #宮崎駿 #千尋 #ハク様 #釜爺 pic.twitter.com/tha6iCYAv7
— アンク@金曜ロードSHOW!公式 (@kinro_ntv) August 16, 2019
オクサレ様かと思いきや名のある河の神だった元オクサレ様は、大量の金を湯屋に落としただけでなく、千尋には個人的にニガダンゴをプレゼントしています。
きっと、自分の本当の汚れに気づいてくれたお礼なのでしょう。
ニガダンゴは、身体の中にある悪いものを出す効力があり、後に「千と千尋の神隠し」の2つの出来事を解決に導いてくれます。
オクサレ様(河の神)は、2つの出来事が千尋の前で起こることを予知していたのでしょうか?
【まとめ】オクサレ様は短い登場ながらも色んな事を考えさせてくれるキャラクター!再度注目せよ!
オクサレ様(河の神)との出会いは、短いシーンではありますが千尋の成長に良いきっかけを与えてくれました。
それだけでなく、湯屋の従業員の気持ちの変化をも私たちに見せつけるものとなりました。それだけでなく、オクサレ様(河の神)の短い登場シーンの中に環境問題も考えさせられるものとなりました。
もう一度でオクサレ様(河の神)の行動に注目して、「千と千尋の神隠し」を観てみませんか?