賛否両論意見続出!刃牙道の最終回を考察!

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刃牙シリーズ4作目となった刃牙道。戦国時代の剣豪・宮本武蔵が復活し、現代の格闘士と戦うという本作はその強烈かつ尻切れトンボなラストで賛否両論を巻き起こしました。その衝撃のラストについて考察していきます。

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導入

週刊少年チャンピオンで連載中の刃牙シリーズ。
1992年に始まったグラップラー刃牙から現在連載中のバキ道に至るまでグラップラー刃牙(ばき)、BAKI、範馬刃牙(はんまばき)、刃牙道、そしてバキ道と、5つのシリーズに分類されています。
地上最強にして極めて危険な性質を持つ実の父であり、母の仇でもある範馬勇次郎(はんまゆうじろう)を倒す為、主人公の範馬刃牙(はんまばき)が修行を続けていく…というのが本作の中心的なストーリーでした。
今回ご紹介するのはそんな刃牙シリーズの4作目に当たる刃牙道。
この作品に登場するのはなんと『宮本武蔵』。
戦国時代後期から江戸時代を生きた剣豪を相手に刃牙をはじめとした現代の格闘士達がどう戦い、そしてどう結末を迎えたか…。
賛否両論を巻き起こしたそのエンディングを考察していきます。

グラップラー~範馬刃牙のラストを振り返る

まずはおさらいとして、グラップラー刃牙から範馬刃牙までを振り返ってみましょう。

グラップラー刃牙

世界最大のフルコンタクト空手である神心会の全日本選手権に突如現れた白帯の少年。
彼は全試合オール一本勝ちで駆け上がり、優勝候補筆頭の末堂厚すらも打ち倒して優勝します。
彼こそが東京ドーム地下、真の『何でもあり』の世界の王者である範馬刃牙でした。
並外れた戦闘能力と殺傷能力を持つ実の父を倒す為、刃牙は修行を続けます。
本作の中盤~終盤に開かれた地上最強トーナメント。
刃牙は順調に勝ち上がり、決勝戦では異母兄弟であるジャックハンマーを制して、最強の格闘家となりました。

BAKI

地下闘技場を制した刃牙の下に集まったのは5人の死刑囚達。
彼らの合言葉は
「敗北を知りたい」
場所も限定されず、武器の使用、不意打ち、多対多といったバーリトゥードやMMAとはまた違った、『路上の現実』の中で、刃牙を始めとした地下格闘士達が犯罪者達にどう立ち向かうか…?
というワクワクするテーマで始まった本作ですが、この「ルールがない」という事は、すなわち「勝ち負けがあやふやになる」という意味でもありました。
敗北を知りたいという割に負けそうになると逃げる敵、敵とも味方ともつかない第三者の登場などで戦いはどんどんと長くなっていきました。
最終的に死刑囚達は無事全員確保されて舞台から姿を消すこととなります。
その後には史上最も偉大なボクサー、マホメッド・アライの息子であるアライJrが登場して秒殺されたり、中国拳法との一戦もあったりしましたが、どれもやや精彩に欠いていた気もします。
しかし本作のラストにて範馬刃牙はこれまで見上げ続けていた父である範馬勇次郎に宣戦布告をして、幕を閉じることとなりました。

範馬刃牙

そしてその続編である範馬刃牙は、刃牙の対父親の為の修行から始まります。
イメージトレーニングによって生み出した体重100㎏の蟷螂とのスパーリングに勝利して自信をつけたという刃牙に対して勇次郎は
「所詮イメージはイメージ」
と断じてしまいます。
そんな中現れたのは2億年前の岩塩層から発見された恐竜を捕食する古代人ピクル。
このピクルとの闘いで刃牙は大きく成長し、勇次郎と戦う決意をします。
とはいえ、親子である二人、戦いは地下闘技場で始まる試合ではありません。
高級ホテルでの親子水入らずでの夕食。
刃牙が放った一言が勇次郎を激昂させ、二人の試合…ではなく親子喧嘩が始まります。
テレビで、ネットで、そして実際に集まって二人の喧嘩を無数のギャラリーが見守る中、二人の戦いは遂に決着。
勇次郎が刃牙に地上最高の称号を譲り、幕を閉じたのでした。

宮本武蔵の登場

さて、本来であれば刃牙の物語はここで終了です。
しかし、現実は(漫画ですが…)そうはいきません。
作家の中島らも先生が「映画は初めてのキスで終わるから美しい」と言った様にドラマチックなストーリーの後は、退屈な日常が押し寄せてきます。
日常に飽いていた刃牙を始めとした格闘士達。
そんな折、徳川のじっちゃんこと徳川光成氏が暴挙に出ます。
九州に眠る宮本武蔵のご遺体を奪い、クローン技術で再生し、さらに実の姉の降霊術で魂まで吹き込み、現世へと読みがらせたのです。

地上最強ならぬ史上最強の復活。

多くの格闘士達がこの復活に喜び、手を合わせていきますが、現代とは大きく違った価値観と行動から、彼は次第に暴走をしていきます…。

被害者達

その結果、多くの不幸な事件が発生していきました。

愚地独歩

フルコンタクト空手・神心会主催にして、刃牙からも一目置かれる空手の達人である独歩氏。
モデルの一人である大山倍達(フルコンタクト空手・極真会総裁)がそうである様に、彼もまた宮本武蔵を慕っていました。
「真剣をもってこそ宮本武蔵」
と帯刀させて挑んだ試合だったが、煽られた挙句に手加減をされてほぼ無傷で制圧されてしまうという体たらく。
BAKIでもポッと出のマホメッド・アライJrにぼこぼこにされていましたが、そちらは後からリベンジできたものの、今回はリベンジの機会すら与えられませんでした。

烈海王

刃牙道最大の悲劇といえば彼を思い出す人が多いのではないでしょうか。
そもそもが前作である範馬刃牙にて古代人ピクルに足を食べられてしまった彼に待ち受けていたのは、それとは比較にならない悲劇でした。
武器術を含んだ中国武術のすべてが試せると武蔵の前に立ちはだかった彼は、その凶刃の前に倒れてしまったのです。
試合後、烈の遺体を前に徳川氏が号泣していましたが、そもそも全部彼の責任です。

ジャックハンマー

彼は直接武蔵と相対していません…というか相対する機会すら与えられませんでした。
第一シリーズの最後の敵であり、主人公の兄にして勇次郎の息子という極めて貴重なポジションにいながら、事もあろうに本部以蔵の咬ませ犬にされてしまいました。
ドーピングと骨延長手術で圧倒的なフィジカルを得たにも関わらず、彼の活躍は『武器を持った本部は強い』ということを証明させただけでした…。

警察の方々

自ら望んで戦いに赴いた格闘士達だけではありません。
烈を斬殺した彼を国家権力は許しはしませんでした。
結果連行しようとした警察を、彼は無慈悲に斬り殺していきます。
残酷なまでの死体の山は、彼が現代社会では生きていてはいけない存在であることの象徴だったのでしょう。

そして訪れた決戦

個人の圧倒的な暴力に数を頼っても勝てなかった警察が最後にすがったのは、個人の暴力としては圧倒的である喧嘩師・花山薫でした。
警視総監の男気に触れ、花山は一人の男として武蔵に挑みますが、さすがにステゴロでは分が悪く、武蔵に敗北してしまいます。
危うく斬殺されそうになったところを助けたのは刃牙でした。
「あんたは現代で生きていちゃいけない」
そう言い放ち、刃牙は武蔵に決着を申し込みました。

突然の結末

前代未聞である刃牙の「殺人宣言」。
そして始まった地下闘技場での戦い。
刃牙は終始有利に戦いを進めます。
夢中で刃牙と戦う武蔵はその気配に気づかなかったのでしょう。
両手がふさがった武蔵に突如襲い掛かったのは、徳川光成の実の姉であり、霊媒師の徳川寒子。
武蔵を現世に呼び寄せた本人でした。
彼女は武蔵を現世に呼び寄せた時と逆の手順で、武蔵の体から魂を吸い取り…あの世へと吐き出しました。

そして武蔵の体はまた抜け殻に戻り、一連の事件は幕を閉じたのでした。

総括~宮本武蔵は何を奪い、何を遺したのか

「万死に価する 所行じゃ………」

徳川寒子が今回の事件について語りました。
武蔵を現世に呼び寄せたのは、完全に好奇心によるものです。
そこに大意は一切ありません。
その好奇心が故に烈は、そして多くの警察官は帰らぬ人となったのです。
結局刃牙道が何を伝えたかったのか…
グラップラー刃牙は総合格闘技がまだメジャーではなかった時代に「何でもありでの最強」を描きたかった作品です。
BAKIはそのさらに上、試合ではない路上の現実での強さを描きたかったのでしょう。
範馬刃牙はそのすべてを飲み込んだ刃牙が、とうとう父を超える決着をしたかったのでしょう。
では刃牙道は…?
恐らく、日常という『退屈』は、格闘士にとって死ぬよりつらい事だったのでしょう。
それは地下闘技場を運営する徳川氏にとっても同じです。
その為、彼は敵を作るという禁断の方法をとってしまったのではないでしょうか。
武蔵は数多くの生命を奪い、束の間の退屈を奪い、そして貴重な経験を遺しました。
しかしそれに巻き込まれた警察官たちはたまったものではありません。
このメッセージ性の不明瞭さが、刃牙道のラストの賛否が分かれてしまっている理由ではないでしょうか。

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