「かげきしょうじょ!!」モデルは宝塚?宝塚音楽学校との共通点、相違点も徹底解説

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2021年7月から放送されたアニメ『かげきしょうじょ!!』は、大正時代から続く女性歌劇団の養成学校に通う10代の少女たちの苦悩と葛藤、成長を描いた青春×舞台アニメです。華宝塚歌劇団に似ている点が多くあり、宝塚をモデルにしているのか、気になる方も多いでしょう。この記事では、宝塚との共通点や相違点に焦点を当てて紹介します。

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目次

「かげきしょうじょ!」とはどんな作品?

『かげきしょうじょ!!』は、累計発行部数100万部を突破した斉木久美子先生のマンガ作品。
大正時代から続く女性歌劇団の養成学校「紅華歌劇音楽学校」を舞台に、明日のトップスターを夢見る少女たちが自分自身の課題や悩みと向き合い、成長していく青春ストーリーとなっています。

原作は、2012年6月号から集英社のマンガ雑誌『ジャンプ改』で連載開始されましたが休刊となり、2015年から白泉社のマンガ雑誌『MELODY』にて連載中です。
『ジャンプ改』で連載されたストーリーは『かげきしょうじょ!!シーズンゼロ』というタイトルで単行本化。主人公二人が心を通わせるきっかけとなった出来事や、入学後に起きた出来事などが描かれています。

白泉社の『MELODY』で連載された漫画を収録した単行本は、2021年9月27日現在11巻まで刊行。
原作漫画は、2020年に小学館漫画大賞の少女部門を受賞しました。

2021年7月から9月末までアニメが放送され、アマゾンプライムビデオでは5段階評価で4.4を記録するなど、多くの視聴者から高く評価されています。

「かげきしょうじょ!!」のストーリーは? 

主人公は、178㎝の長身と強い体幹を持ちながらも、幼少期に歌舞伎役者になる夢を挫かれた15歳の少女・渡辺さらさ。さらさのルームメイトで、男性恐怖症元人気アイドル・奈良田愛のふたりです。
高倍率の入学試験をクリアし、4月から紅華歌劇音楽学校の予科生(1年生)となりました。

さらさの夢は紅華歌劇団の演目『ベルサイユのばら』の主人公・オスカルになること。
一方、愛は男性恐怖症で男性がいない場所で穏やかに暮らしたいという願望があるだけで、入学直後は特に夢や目標はありませんでした。
やがて愛はさらさの人を惹きつける素質や演技力に惹かれ、彼女とともに選ばれしスターだけが立てる場所「銀橋」を目指すことに決めます。
しかし、愛は表情も硬くて無表情。演技力もまだまだでした。
一方、さらさは歌舞伎を習った際に習得した「一度見た演技を再現する力」の限界を知ります。
スターの演技のコピーができても、トップスターになれないと演劇指導の講師に指摘されたのです。

自分自身で役柄について理解を深め、自分のものにできなければスターになることは不可能。さらさはどうすれば役作りができるのか愛と一緒に試行錯誤をします。課題が多いさらさと愛、そして同級生たちは、互いに切磋琢磨しながら、自分たちの壁を乗り越えていくのです。

物語の舞台は、未婚女性で構成される歌劇団の養成学校

『かげきしょうじょ!!』の舞台である紅華歌劇音楽学校は、女性歌劇団「紅華歌劇団」の劇団員の養成学校です。
紅華歌劇団は、未婚の女性のみで構成される劇団で、大正時代から100年以上の歴史があります。

劇団員になるためには、紅華歌劇音楽学校で2年間レッスンを受けて卒業できなければなりません。
この紅華歌劇音楽学校の受験が狭き門で、東京大学合格よりも難しいと言われています。

入学後はダンスや演劇、日本舞踊などあらゆる専門講師の厳しいレッスンと、さらに厳しい上級生からの指導を受けることになり、彼らの教えを糧に成長しなくてはなりません。
成績も毎回掲示板に張り出され、厳しい競争の中で自分自身や演技を磨いていくことが必要になります。

役を争う熾烈な競争は入学直後から始まっていると言う先輩もいるほど、学校内は厳しい競争社会となっています。

モデルは宝塚?共通点はここだ!

女性だけの歌劇団と聴くと、宝塚歌劇団を連想する人は少なくありません。
原作者の斉木久美子先生のインタビュー記事によると、本作を描くにあたって宝塚OGの方を取材し、10年以上の年月をかけて宝塚の舞台を観劇されたのだそうです。

また、斉木久美子先生は、宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』の楽曲を収録したLPレコードを母親から誕生日プレゼントに貰って、よく聴いていたといいます。
やはり本作に登場する紅華歌劇団のモデルは、宝塚歌劇団と言っていいでしょう。

一方で、斉木久美子先生は、「本家に寄り添いすぎると物語を膨らませることはできない」、「あくまでフィクション作品」であるともインタビューで述べています。
つまり、宝塚歌劇団を参考にしているところと違うところがあるのです。

具体的にどこが同じでどこが違うのか詳しく見ていきましょう。

共通点①大劇場のデザイン、大劇場周辺の景色がそっくり

紅華歌劇団の劇場は、漫画とアニメの第1話、アニメのオープニング映像に描かれています。
細かい部分は違えど建物の外観は宝塚大劇場とほぼ同じデザインでした。
紅華歌劇団の劇場には、選ばれしスターだけが立てるという舞台のせり上がった場所「銀橋」やスター達の華やかなショーが繰り広げられる「大階段」があるのですが、宝塚大劇場にも存在しています。

アニメ公式ホームページにある米田和弘監督のインタビュー記事によれば、アニメーション制作にあたって宝塚市周辺を下見していたそうです。
また、宝塚大劇場には劇場へと続く「花のみち」と呼ばれる長い桜並木があります。
アニメのオープニング映像では「華のみち」という名に変えているのですが、実際の「花のみち」とほぼ一致しており、忠実に再現しているようです。

共通点②合格は狭き門!東京大学合格よりも難関

ふたつめの共通点は、養成学校の入学試験の難易度の高さにあります。

『かげきしょうじょ!!』に登場する紅華歌劇音楽学校は、入学試験の競争倍率が25倍以上。
東京大学の競争倍率が約3倍ですので、東京大学に合格するよりもはるかに難しいことがうかがえます。
宝塚音楽学校の競争倍率は、2020年に21.3倍を記録。40人の定員につき852人の応募者が全国から集まりました。
過去最高の競争倍率は1994年の48.2倍、2008年から2020年までは競争倍率が20倍以上あったそうで、狭き門となっています。

宝塚音楽学校のホームページによると、入学試験は3次試験まであり、面接、歌唱の実技試験、舞踊の実技試験が実施されています。
面接では受験者の容姿、熱意や将来性、舞台への適性を審査。
2次試験で行われる歌唱の試験では声量や声質、音程が取れているかどうか、初めて見る楽譜を読み取る力などが審査され、舞踊の審査ではダンスの適性、リズム感や運動能力、柔軟性などを評価しているそうです。

『かげきしょうじょ!!』では、アニメ第1話で講師陣がさらさを推薦する場面から、面接、声楽の実技試験、バレエの実技試験が入学試験科目であることが分かります。
バレエもダンスの一つとして考えれば、宝塚音楽学校とほぼ同じ試験内容なのでしょう。

入学できる人数も40人で、宝塚音楽学校も紅華歌劇音楽学校も同数でした。
紅華歌劇音楽学校も宝塚音楽学校と同じように厳しい審査基準で、受験者たちの才能の原石を探し、ふるいにかけているのではないかと思われます。
両学校とも、目を引く才能や技能の持ち主、スター性のある人物など入学希望者の中で際立つものを持った者だけが入学できる学校なのです。

共通点③受験のチャンスは、中学卒業から高校卒業までの4回のみ

『かげきしょうじょ!!』の舞台である紅華音楽学校も宝塚音楽学校も、入学がとても難しい学校であることが分かりましたが、両学校とも年齢制限があり、受験できるチャンスが決まっています。

宝塚音楽学校では、受験時に中学卒業あるいは高等学校卒業の方、または高等学校在学中の方と規定されており、実質4回受験のチャンスがあります。

紅華音楽学校も、宝塚音楽学校と全く同じ年齢制限がされています。
『かげきしょうじょ!!』では、中学卒業時の試験で不合格になりふさぎ込んでしまった妹を放っておけず、入学を見送り、高校一年時の試験で姉妹そろって合格した双子の姉妹や、祖母も母も紅華歌劇団のスターでプレッシャーと戦いながら4度目の試験で合格できた受験者もいました。

宝塚音楽学校も一度不合格しても高校卒業まで受験できるチャンスが残されているため、諦めないで努力を続けて3度目や4度目の入学試験に合格し、後にトップスターとなった人もいるそうです。

共通点④音楽学校は2年制、上級生が下級生を厳しく指導

難関校である宝塚音楽学校と紅華歌劇音楽学校。いずれの学校も2年制で、入学してからはプロの講師陣の厳しいレッスンと上級生からの指導が待ち受けています。
宝塚音楽学校には厳しい上下関係があり、先輩の言葉や指示は絶対に守らなくてはなりません。

なかでも伝統として受け継がれているのが、予科生(1年生)による朝の掃除です。
予科生(1年生)は、授業前の1時間半前から授業が始まるまでに、担当の本科生(2年生)が指定した持ち場を1年間掃除することを義務づけられます

部屋中のホコリや髪の毛もすべて取り去らなくてはいけない、どかしたものは必ず元あった位置に正確に戻さなければならず、元の位置から数ミリずれているだけで怒られるという、厳しい決まりがあるそうです。

元タカラジェンヌの鳴海じゅんさんはブログで、音楽学校在籍時は掃除手順も細かく決められ、割り当てられた持ち場を徹底的に磨き上げることに命を懸けていると発言していました。

また、アニメ『かげきしょうじょ!!』では、掃除のチェックを担当する本科生は予科生の生活指導役として、常にマンツーマンで指導しています。
宝塚音楽学校でも長い間マンツーマンで掃除や生活の指導が行われていましたが、指導方針を見直され、予科生は数人のグループで一つの持ち場を担当し掃除しているそうです。

共通点⑤先輩へのあいさつは絶対

先ほどの掃除指導のように宝塚音楽学校と紅華歌劇音楽学校には、先輩後輩の間に厳しい上下関係があります。
予科生は上級生である本科生や劇団の方に敬意を表すことが大切とされ、先輩や劇団の方が見えたらすぐ挨拶をしなくてはなりません。
『かげきしょうじょ!!』のアニメ第6話では、練習中に顔を出した上級生が来たら、そこにいた予科生全員がほんの数秒で挨拶をしていました。
予科生のひとりがあいさつしなかっただけで、連帯責任を問われることもあります。

加えて先輩の注意や指示も絶対守らなくてはなりません。
紅華も宝塚も年長者を重んじ、常に礼節をわきまえることが求められているのです。


共通点⑥生徒が暮らす女子寮がある

宝塚音楽学校も紅華歌劇音楽学校も、近隣に住む生徒以外はすべて寮生活をすることになります
宝塚音楽学校では、一人暮らしをすることが禁じられているそうです。

部屋は2人1部屋で、予科生(1年生)の間はルームメイトを自分で決めることも変えることもできません。
『かげきしょうじょ!!』でも、奈良田愛は渡辺さらさと同室になるのですが、寮母に変えることができないと言われていました。
宝塚音楽学校の場合ですが、本科生(2年生)になるとルームメイトが選べるそうです。

寮は学校に近接したところにあるのですが、寮にも音楽学校と同じように厳しいルールがあります。
宝塚音楽学校の場合は、寮でも学校と同じように静粛であることが求められています。
元タカラジェンヌの鳴海じゅんさんのブログによれば、スリッパの音が鳴らないように裏にフェルトを貼り付けていたり、目覚まし時計を枕の下に置き、秒で止めていたそうです。
宝塚音楽学校に入学したら、どこにいても自分を律することが求められるのでしょう。

共通点⑦男役スターと女役スターを中心にした「スターシステム」が存在する

宝塚歌劇団と紅華歌劇団には共通して、トップスターを中心にした序列「スターシステム」が存在します。
トップである男役スターと娘役スターを頂点に、ナンバー2(次期スター候補)、次期スター候補の次に大事な役どころを演じる3番手スター、味のある脇役ができる別格スター、中堅団員、下級生、新人といったピラミッドのような序列構造になっているのです。

劇団四季など多くのミュージカルでは、先に演目を決めてから団員をキャスティングするのですが、宝塚や紅華では、各組のトップに立つ男役スターと娘役スターを中心に演目が決まります。

組のナンバー2といった序列の上位にいる人たちも、主人公の敵役や重要人物を演じることが多く、序列の上位にいる役者たちの持っている美貌や演技力、歌唱力などが、舞台の成功を左右すると言っても過言ではありません。

言い換えれば、舞台で大活躍できる人物はスターに選ばれた人のみ。
劇団では少ない椅子を狙って、自分自身の容貌やパフォーマンスを磨き上げ、実力でのし上がっていくことが求めらているようです。

共通点⑧男役スターは本物の男性よりもかっこいいと大人気

トップスターの中でも男役スターは絶大な人気があります。
男役が主人公の舞台も多く、最後には大羽根を背負って大階段から一人で降りていく場面もあり、舞台の花形と言っても過言ではありません。
男役俳優の整った顔立ちに美しい声、本物の王子様のような気品や風格などに見とれて、実際の男性よりもかっこいい、思わず「かっこいい」と言いたくなってしまう女性も多いのではないでしょうか。

「かげきしょうじょ!!」では、主人公・さらさや委員長の杉本紗和、祖母・母も紅華スターの星野薫も、紅華歌劇団の舞台を見て男役スターを志望しています。

そもそもドラマや映画で、女性が男性役を演じることはほとんどない気がしませんか?
劇団員が全員女性で男性も女性が演じ、素晴らしいパフォーマンスを披露する歌劇団も宝塚歌劇団だけで、ここでしか見られない特別感がありますよね。
男役スターは観客を現実から引き離し、こことはちがう夢の世界に引き込んでくれるような存在なのかもしれません。
紅華歌劇団も宝塚歌劇団も、魅力的な男性と夢のようなひと時を与えてくれる劇団なのでしょう。

共通点⑨舞台の演目に「ベルサイユのばら」がある

『ベルサイユのばら』は、宝塚歌劇団の代名詞ともいえる演目です
原作は、男として育った女性・オスカルを主人公に革命期のフランスを描いた池田理代子先生の少女漫画となっています。
宝塚では、オスカルを主人公にした「オスカル編」とフランス王妃・マリーアントワネットと恋に落ちるスウェーデンの貴族・フェルゼンを主人公にした「フェルゼン編」の二種類が、1,974年から今日に至るまで何度も公演されてきました。
2006年には通算公演回数1500回を突破、2014年に観客動員数500万人を突破するほど、人気のある演目です。

『かげきしょうじょ!!』では、主人公のさらさが幼い頃に紅華歌劇団の『ベルサイユのばら』を見て、オスカルになると決意しています。
しかし紅華歌劇団の『ベルサイユのばら』のオスカルは、男役トップスターにしか演じることはできません。

ちなみにさらさが憧れたオスカルを演じた女優は、現在は劇団の理事を務めているほど、劇団に影響力のある存在。
宝塚歌劇団でオスカルを演じた女優のなかには、アニメ『るろうに剣心』で緋村剣心役を演じた涼風真世さんがいます。

共通点⑩出演声優に元タカラジェンヌを起用

アニメの『かげきしょうじょ!!』では劇団の男役スターのうちの3名、元男役で理事を務める一条明羽役に元タカラジェンヌ(宝塚女優)の声優を起用しています

出演された4名すべて声優として活動されている方なので、声の演技も目を見張るものがあります。
イケメンの風格が漂っており、さらさが冬組スターの里美星(CV.七海ひろきさん)に壁ドンされる場面ではつられて胸キュンしそうになるほど、演技に安定感があるのです。

長年の年季とこれまでの舞台で培った男らしい演技をアニメでぜひ堪能してみてください。

共通点⑪エンディングテーマを宝塚の楽曲に携わった斎藤恒芳さんが担当

アニメで使用される楽曲も宝塚歌劇団と同じ作曲家の方が携わっています
紅華歌劇音楽学校の校歌とエンディングテーマ3曲は、宝塚歌劇団の5つすべての組で楽曲を手掛け、1999年に宝塚歌劇団宙組公園「激情」で文化庁芸術祭優秀賞を受賞した斎藤恒芳さんが担当しました。

斎藤恒芳さんはアニメ『蒼穹のファフナー』シリーズ全ての劇伴曲、『プリパラ』や『電脳コイル』の劇伴曲も作曲されています。
数ある『かげきしょうじょ!!』の楽曲の中でも、エンディングテーマ3曲は、宝塚歌劇団を彷彿とさせる煌びやかさと優雅さを併せ持つ音楽と声優陣の普段とは違う伸びやかな美声が、ファンの間で高く評価されています。

声優ファンも宝塚ファンも唸りそうな高い完成度の音楽。
エンディングアニメーションも宝塚を彷彿とさせる大階段も登場し、華やかなで素晴らしいひと時を与えてくれます。
ぜひ耳と目を開いて、じっくり堪能してみてください。


紅華と宝塚はここが違う!

ここまで『かげきしょうじょ!!』に登場する紅華歌劇団と宝塚歌劇団の共通点を11個挙げましたが、もちろんちがうところもあります。

違うところは、劇団の名前以外に4つあります。

所在地と音楽学校生の服装や髪形、音楽学校の校門のデザイン、歌劇団の組の数と名前が大きな違いです。
それぞれを一つひとつ見てきましょう。

相違点①所在地が違う

宝塚歌劇団は兵庫県宝塚市にありますが、紅華歌劇団は兵庫県神戸市にある設定です。
斉木久美子先生が本作はあくまで宝塚歌劇団をモデルにしたフィクション作品とインタビューで言っていたので、所在地を変えたのかもしれませんね。

相違点②音楽学校生の髪型や制服のデザインが違う

ふたつめの違いは、音楽学校生の制服のデザインや髪形です。

紅華歌劇音楽学校では白地に紺の襟のセーラー服で、腰にベルトが付いたデザインでした。
髪型には特に規定はないようです。

宝塚音楽学校では現在、グレーのジャケットにワンピーススカート、小さな赤いリボンがついたクラシカルな制服を着用されています。
髪型は、予科生(1年生)で男役志望の者はリーゼント、娘役志望の者は固く結んだ三つ編みという決まりがあるそうです。
靴下も三つ折り以外認められないと言われています。

漫画やアニメはキャラクターの描き分けが必要で、見た目の可愛さや美しさが大切ですから、『かげきしょうじょ!!』では宝塚音楽学校の規則を再現しなかったのかもしれません。

相違点➂音楽学校の校門のデザインが違う

音楽学校の校門のデザインも紅華歌劇音楽学校と宝塚音楽学校では少し違います。

『かげきしょうじょ!!』に登場する紅華歌劇音楽学校の校門は大きめの校門ですが、宝塚音楽学校の校門は少し狭そうです。

相違点④劇団の組の数と名前が違う

『かげきしょうじょ!!』に登場する紅華歌劇団には、春組・夏組・秋組・冬組の4つの組があり、それぞれに男役のトップスターと娘役のトップスターが各組の頂点にいます。
また、優れたスター性や演技力を持ったOG達が集まった組織「専科」もあり、舞台やイベントのバックアップに当たっていました。

一方、宝塚歌劇団では花組・月組・雪組・星組・宙組の5つの組があり、紅華歌劇団にもある専科があります。

組の名前と数は違いますが、スターシステムや専科の存在は共通しているようです。

昔はもっと厳しかった!宝塚音楽学校伝統の暗黙のルール

ここまで『かげきしょうじょ!!』が宝塚音楽学校をモデルにしていることが分かってきましたが、実は宝塚音楽学校には予科生が守るべき厳しいルールがまだまだあります。

・ぶつかるといけないので予科生は壁側を歩き、廊下の曲がり角は直角に曲がらなければいけない
・授業と授業の間の15分休憩でダンスや舞踊の衣装から着替えて教室移動をしなければならない
・阪急電車に乗る時は、たとえ空席があったとしても席に座ってはならない
・阪急電車に乗る時は、必ず最後尾の車両に乗ること
・阪急宝塚駅から宝塚大劇場に続く「花のみち」を通ってはならない
・寮の中では音を出さない。靴音も目覚まし時計もレンジも絶対に鳴らさない


ここで挙げたのはほんの一例ですので、他にも宝塚音楽学校内には厳しいルールがまだまだあるそうです。
『かげきしょうじょ!!』では、朝の掃除や担当する先輩から厳しい個別指導が描かれていましたが、他のルールまで再現するともっと作風がシビアになっていたかもしれませんね。


今の時代にそぐわないとの声、体調を崩す生徒が出たため不文律が一部廃止に

普通の高等学校に通っていた方のなかには、宝塚音楽学校のルールに意味はあるのかと疑いたくなる人も多いでしょう。
実際、2020年9月には生徒間で決められていた暗黙のルール(不文律)が一部見直されたことが報じられました。

廃止されたのは、
・朝の掃除でのマンツーマン指導
・生活記録や掃除状況を予科生が細かくノートに記載し、本科生に提出させること
・本科生(上級生)が乗っているであろう阪急電車に挨拶をすること
・本科生(上級生)の前では眉間にしわを寄せて口角を下げた「予科顔」でいること
・本科生の返事には「はい」か「いいえ」などで答える

本科生に報告するためのノートは書く量が多いほどいいと言われており、睡眠時間を削ってノートを書いていた予科生もいたのだとか。
体調を崩す生徒や負担が大きいと言う生徒の声もあったため、学校側は行き過ぎた指導を見直し、消灯時間を0時に徹底していると言われています。
先輩からのマンツーマン指導だった校内掃除は一つの持ち場に数人のグループで担当しているそうです。

代々先輩から後輩へ受け継がれてきた暗黙のルールですが、「時代とともに変えていくべき」という意見や「時代にそぐわない」というなど理由で、廃止されたと言われています。

「かげきしょうじょ!!」は宝塚歌劇の魅力が伝わる素晴らしいアニメ

『かげきしょうじょ!!』は、自分の壁や様々な試練と向き合い、成長していく10代の音楽学校生たちを描いた作品です。
宝塚歌劇団や宝塚音楽学校をモデルにしていますが、希望の役を勝ち取るために登場人物たちが努力する姿や渾身の演技を披露する姿に引き込まれます。

幼少期に夢を挫かれ、「スターになれない」と言われた主人公が、底から這い上がり新たに自分の演技を模索して一歩一歩成長していくドラマは、心に迫るものがあります。
宝塚に詳しくない人も、女性だけの華やかな舞台や演劇の魅力を感じ取ることができ、回を重ねていくうちにどんどん世界観や魅力にはまっていくのではないでしょうか。

宝塚のスターもきっと登場人物たちのように、外見や自分の演技力などに悩み、試行錯誤を重ねながらきっと成長してきたのかもしれません。
主人公たちを応援しながら、宝塚の魅力や素晴らしさを実感できるアニメ、それが『かげきしょうじょ!!』なのでしょう。

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