「風の谷のナウシカ」の原作漫画で宮崎監督の真の実力を知る。風の谷のナウシカは原作も凄い!

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ジブリ作品の代表作「風の谷のナウシカ」のここがすごい!着眼点を原作漫画にあて、そのすごさを徹底解説いたします!映像作品と原作漫画の違う点など、たっぷり紹介しているのでぜひ参考にしてみてくださいね!

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「風の谷のナウシカ」は1984年に公開された、宮崎駿が原作・脚本・監督を務めた誰もが知るアニメ映画です。しかし公開前の1982年から原作漫画をアニメ映画制作に向けて雑誌アニメージュで執筆されていたのは、映画ほど知られていません。映画は原作第2巻の途中まで映画化され、公開後は原作終了の話もありましたが、最終的に結局全59話7巻が刊行されました。
物語はアニメ映画より過酷な内容で、自然と人間とか科学の葛藤が人類の命運を絡めて描かれております。今回は特にファンの間でも人気が高く、映像化が望まれている(はずの)第3巻を紹介します。

第3巻が凄い! 映像化が望まれる理由は読めば判ります

南の地へ向かうクシャナとナウシカ、そしてユパ達

アニメ映画では大海嘯(だいかいしょう)をナウシカが鎮めた後、トルメキアのクシャナ皇女は自国に戻り、ナウシカと風の谷は平穏を手に入れました。最後にユパとアスベルが旅に出たところで映画は終わります。
しかし原作漫画は兵を失ったクシャナが配下の第三軍の主力を合流するため、本来の敵国である土鬼(ドルク)との最前線である南の地に向かい、王蟲(オーム)の言葉に異変を感じたナウシカは南の森に向かうため彼女に従軍を申し入れます。同行を認めたクシャナとナウシカの思惑は最初から異なりますが、呉越同舟で互いの目的のために一隻のコルベットで南へ向かいます。また世界の秘密を知るための旅を続けるユパは、土鬼の皇弟と僧会の秘密を知ったためアスベルと一緒に逃避行を続けてました。
この巻の前半は主要人物の様々な描写があります。アスベルが語るペジテの巨神兵、クロトワが暴露したクシャナの命を狙う者の正体や彼女の敵となった兄達と対決を鮮明にする戦闘は印象深く、またナウシカが命がけで兵を助け信頼を得ていく姿や、見殺しにされた部下の死に対して復讐を誓うクシャナの姿は彼女たちの本質を描いていました。
それらの物語を交えつつ、一行はトルメキア軍拠点で最前線のサパタ城都に到着します。

もはや教科書に載るレベル「サパタ攻防戦」

完全包囲されたサパタ城に残る第3軍第1連隊2千は、逃げ支度の司令官に徹底抗戦を命じられ死を待つしかありませんでした。そこに敵の砲火と一緒にクシャナ達はコルベットで乗り込み、司令官の指揮権をはく奪します。
すぐに軍議を開いたクシャナはサパタ攻防戦において最大の問題である土鬼側の攻城砲に着目します。砲弾が明らかに30㎝以上あり、薬砲を別に装填するタイプのため威力はかなり高いと判断されます。また攻撃が始まれば城都は1日もたないと双方ともに理解しておりました。
土鬼側は攻城砲群の前方に塹壕と歩兵を配置して攻撃準備と共に攻城砲を守っています。一方でトルメキア側もロケット弾のような遠距離火器を保有していますが、自軍の兵器では土鬼の攻城砲陣地には届きません。
この状況下でクシャナが示した作戦要綱は以下の通りです。
・第3軍はサパタからの撤退を前提とし、本作戦は船を準備するまでの時間稼ぎ。
・攻城砲の破壊を第一目標とし、それ以外の戦闘は副次的なものとして不要。
・城内の全火砲の一斉砲撃を擬態として外壁を爆破、破壊して出撃口をつくる。
・装甲騎兵の出撃で敵塹壕を突破、砲陣地に突入して爆薬で攻城砲を破壊する。
・騎兵の前進時は煙幕として火砲の砲撃を継続、塹壕陣地の突入を支援する。
・砲陣地の爆破後は迂回、敵の砲陣地と後方陣地との間を抜けて城東門から帰還。

この作戦は砲兵、工作兵、騎兵、歩兵が一体となって遅滞なく行動する必要があります。士気も練度も相当の高さが必要で、上官をいかに信頼して一糸乱れず行動できるかが鍵となります。それが出来るのはトルメキア軍で最も兵に人気があるクシャナのみであり、実際に彼女が登場したことにより跳ね上がった士気は作戦説明で更に高まりました。

作戦開始は計画通り、火砲の砲撃で始まりました。爆破され開いた城壁から縦隊で出撃したクシャナ率いる装甲騎兵が進撃しつつ横隊に隊列変更していく様は練度の高さが窺えます。弾幕で状況把握が遅れた土鬼の塹壕陣地の歩兵は、トルメキア軍の装甲騎兵の攻撃になすすべもなく戦列は突破されます。続い攻城砲陣地も突然出現した騎兵の群れに混乱となりました。次々と陣地に手投げ弾を放り込まれ、集積された弾薬の誘爆により攻城砲が破壊されていきます。
この時点で作戦は目標達成となり、後は城への帰還だけとなります。もっともこの作戦の難しさはここからにありました。敵陣の奥深くまで入り込んでの撤退は、一つ間違えば包囲殲滅される危険なものです。実際に引き潮を悟ったクシャナは1個中隊を率いて本隊の撤退を支援するため機動防御を行います。退却行動中に右からドルクの騎兵が乗る毛長牛の大群、左から塹壕陣地からの歩兵の大部隊が襲い掛かります。クシャナもここは無傷で突破できるとは内心思っていなかったでしょう。
クシャナは1個中隊を率いて主力の本体の撤退を支援します。ここで隊列から一騎が敵の騎兵群に向かって進み出ます。ナウシカはカイと共に敵の正面に立ちふさがり、たった一発の銃弾を放つことで敵の足を止めました。
ナウシカの放つ鏑弾がけたたましい音を立てて飛ぶ間は、毛長牛がパニックを起こし続け土鬼の騎兵達は乗牛を鎮めるだけで精いっぱいになります。その間にクシャナ率いる騎兵部隊は損害少なく無事に城まで帰還することができました。

サパタ攻防戦の見どころはここ!

ナウシカの勇気か蛮勇か、伝説の一騎駆け!

左右から敵の大群が迫る中で、土鬼の騎兵の前にナウシカが進みでたのは戦うためでなく、クシャナの部隊が逃げる時間を稼ぐためでした。彼女は敵も味方も戦って死んでほしくなかったのです。装填して狙いを定めた先には土鬼の騎兵の大群。彼女は祈ります。城オジ達が丹精込めて作ってくれた鏑弾が毛長牛たちに効くことを。
引き金と同時に轟音を奏でて弾丸が騎兵の頭上を通り過ぎると、毛長牛たちが驚き乱れます。たった一発の銃声で敵の騎兵大群を止めた光景に、土鬼の騎兵を指揮するチヤルカはナウシカに恐怖します。
当然クシャナはナウシカの行動を蛮勇だとして諫め、自軍の力を侮るなと叫びます。返事は捕虜解放の命令書を受け取ったとの言葉。出陣前にナウシカは、サパタ都城内に残る捕虜となった土鬼の女子供を解放するようにクシャナに進言します。この交換条件としてクシャナはナウシカに出陣を求めたのです。戦場での借りは戦場で返すとの意志に、クシャナも虚をつかれ彼女の行動を認めました。
攻城砲を破壊したトルメキア軍を逃がさぬようにチヤルカは追撃を命じますが、再び放たれた鏑弾に毛長牛は怯えていうこと聞きません。都合六発、ナウシカが全ての弾を打ち尽くすまで土鬼の騎兵はその場に釘付けにされてしまいました。

殿軍となったナウシカはカイの足の速さで逃げ切ろうとしますが、そこにクシャナの了解を得た小隊が彼女を囲みます。一騎で陽動と殿軍を務めるナウシカを捨て置けぬと馳せ参じた騎士達は、彼女の弾除けとなり倒れていきます。そして一発の銃弾がカイに命中して、ナウシカもまた倒されてしまいました。起き上がったナウシカのとった行動は、カイの傷を心配して敵に傷の手当てを求めるというものでした。自分の身よりも愛馬の心配する彼女の姿にチヤルカは驚きます。
ナウシカが飼うキツネリスのテトが兵達を威嚇するその隙に、カイが最後の力を振り絞り敵兵を薙ぎ払いナウシカを乗せて脱出に成功します。この間に土鬼兵達はトルメキア軍を取り逃がしてしまい、ナウシカの望み通り互いに最小の被害で戦を終えることができました。

実際に「兵学校の答案なら零点だよ」な作戦でした

完璧な戦果に想定よりも少ない損害で帰還したクシャナ率いる第1連隊。出迎えたサパタ都城内の兵の高揚は最高潮に達します。長い対陣で疲弊していたトルメキア兵たちの気持ちは晴れ、笑顔が溢れました。しかし危険な作戦であったのも事実。というかクロトワが言うように兵学校なら叱責される作戦内容でした。
城壁に大穴を開けて出撃するので、開いた穴はその後の敵の攻撃ポイントとなります。土鬼の攻城砲も巨大で一基が零距離射撃した時は、たった一射で装甲騎兵数十騎を巻き込み倒すほどでした。これを上手く破壊できたのは、弾薬を集積した敵の失策に助けられた面もあります。また敵陣奥深くまで攻め込むため、本来は生きて本国に返したい兵をむざむざ死なせる可能性もありました。
それでもクシャナが決断できたのは、自らが手塩にかけて育てた第1連隊を率いていたからこそだと思います。移動縦隊から突撃横隊へ陣形変更を進軍しながら可能で、襲い掛かる最初の敵の騎兵第一波を一糸乱れぬ敵前停止と爆薬の投擲により一瞬で壊滅させ、撤退時も隊列を崩さず進軍速度を保つことで敵中を突破しました。
もちろん殿軍を務めたナウシカの活躍もありましたが、全体として第1連隊の力量とクシャナの統率力あっての勝利です。つまり特定の条件でのみ成功が可能な、普通の作戦参謀なら容認できない作戦だったと言えます。

大見出し:誰が監督? 映像化を劇場版アニメで是非!

物語の前半でそれぞれの旅の目的を示し、反旗を翻したクシャナがトルメキアの別軍の船と空中戦を展開、中盤最大の山場をサパタ攻防戦を描くという流れで原作漫画の第三巻と四巻を映像化して欲しい!と思い続けてはや数十年。宮崎監督はもう老齢なので、どなたかに頑張っていただけないかと考えてます。第一候補はエヴァの庵野監督ですね。他の監督でも良いのですが、サパタの戦闘シーンは我慢できなくなった宮崎監督が出しゃばって描き上げる流れでお願いしたいところです。
正直、単に原作漫画のコマを動くアニメにするのでは面白くありません。サパタ都城と周囲の戦場全てをデザインして一から映像を作って欲しいので、かなりの力量ある人が監督になってもらわないといけません。そうすると宮崎監督しかいないかな

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