【考察】プロ直伝!売れるキャラクターとは?――「アスナは見た瞬間に売れると思いました。」

ソーシャルゲームの登場と共に飛躍的に拡大したゲームイラスト業界に対して、最進情報の共有と課題解決を行い、世界で活躍できる次世代の育成を目的とした、クリエイティブな刺激を発信するイベント 『Game Creative Exchange』(主催:Game Creative Exchange実行委員会) の第2回が、2015年9月25日(金) 国立新美術館3F講堂(東京都港区六本木)にて開催されました。今回は、多数のアニメ作品にかかわるデザイナーの コヤマシゲト 氏と、株式会社グッドスマイルカンパニー代表取締役社長の 安藝貴範 氏の両名が登壇し、自身の経験をベースに、キャラクターデザインに関する工夫から、「作品」へと落とし込むトータルデザインについて対談しました。今回はそこでの内容を含めて、「売れる」という点でのキャラクターデザインの現在を考察して行きます。

はじめに ~企画の紹介~

「Game Creative Exchange」 とは

出典:http://www.4gamer.net

近年、飛躍的な拡大を遂げる 『ゲームイラスト業界』 における、

最先端の情報の共有と、それにともなって発生する課題の解決を目指すことで、

「世界で活躍できる次世代の育成の場を創出すること」 を目的とした 3 部構成の無料イベント。

全国のアートディレクターやイラストレーターへ

最新情報やノウハウを動画で配信する第 1 部。

人気ゲームに関わったアーティストやプロデューサーおよび、

異業種で世界に誇る技術を持つ方々や企業人の講演・セッションがメインの

第 2 部・第3 部で構成される。


   <主催> Game Creative Exchange 実行委員会

 <特別協力> 国立新美術館

   <協力>

    株式会社グッドスマイルカンパニー

    グリー株式会社

    株式会社ディー・エヌ・エー

    サンケイスポーツ メディアサポーター Tokyo Otaku Mode Inc.

    株式会社スーパーフラット(Palmie)

【第2部】 対談者のご紹介

出典:http://gamecreativeexchange.com

コヤマシゲト

デザイナー。1975年生まれ、東京都出身。

2004年、OVA 『トップをねらえ2!』に、

メカニックデザイン・ゲストキャラクターデザインとして

参加したのをきっかけに、多数のアニメ作品にかかわる。

2014年には、「グッドスマイルレーシング」にて

レーシングミク・バイクミクデザインを手掛け、

2015年はアートディレクターとして関わっている。


代表作 【一部抜粋】

『HEROMAN』 (キャラクターデザイン)

『STAR DRIVER 輝きのタクト』 (サイバディデザイン)

『交響詩篇エウレカセブン』 (デザインワークス)

『天元突破グレンラガン』 (デザインワークス)

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』 (デザインワークス・原画)

『キルラキル』 (アートディレクター、2nd エンディング)

『ガンダム G のレコンギスタ』 (デザインワークス)

『BIG HERO 6 (ベイマックス)』 (Additional Visual Development)

安藝 貴範

『グッドスマイルカンパニー』 代表取締役社長。

1971年生まれ、香川県出身。2001年に同社設立。

「figma」シリーズ、「ねんどろいど」をはじめとした

フィギュアや玩具の企画、制作、販売のほか、

『ブラック★ロックシューター』 『キルラキル』

『テラフォーマーズ』などのアニメーション作品への出資も行っている。

ホビー以外にも、カフェやアーティストマネジメント、

アニメ製作会社の運営など、多彩な分野を手掛ける。

「グッドスマイルレーシング」では、初音ミクをプリントした痛車で、

2011年、2014年にSUPER GTのチャンピオンを獲得した。

国内外の様々なクリエイターと共に、多くのファンを楽しませ、支持されている。

『エヴァンゲリオン』に込められた、キャラクター。

一目で伝わるインパクト

「綾波レイの髪型って、

 変わっているじゃないですか?」

綾波レイ とは、

アニメファンにとっては言わずと知れた人気アニメ

『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する、

色白な肌と青髪、赤い瞳が特徴のヒロインの一人で、

その透き通るような存在感から、

現在も多くのファンが存在する名キャラである。

今回指摘した「髪型」とは、

青髪ショートカットに存在する“分け目”の部分である。


※コヤマ氏は『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインを

 担当した貞本義行氏に、一時師事していた経歴を持っている。※


コヤマ

「そもそも映像を観てもらうためには、

 観る前に初見で伝わるビジュアルのインパクトが必要。」

本来アニメーションにおいて、

「動かした時に、どうキャラクター性を伝えられるか」

ということを重視してキャラクターを作りますが、

そのインパクトの1つというのが、

見た目だけで、どんなキャラクターなのか一発で伝わること。

それが、

「キャラクターデザインにおけるポイントの1つだ」と、

コヤマ氏は語りました。

性格を具現化させるデザイン

綾波レイの髪型の特徴について、

コヤマ

「彼女は、シャギヘアーで前髪が

 大きく分けて左右中央と3つの盛りが存在しますが、

 これは作画のしやすさにも影響していると思います。」

と述べ、

アニメのキャラクターデザインにおける、

「髪の毛のレイヤーの下に目や眉毛があるというデザイン」が、

キャラクターが動くシーンや、前かがみになった際に、

どうしても前髪で目と眉が隠れ表情が分かり辛くなるという

演出的困難を回避しつつ、可愛さを表現する工夫がなされている。

という、制作サイドの事情も考慮されている点を指摘した上で、

コヤマ

「髪の毛が顔の内側に向かってハネているのは、

  内向的なキャラクターであることを示している。」

髪型などのデザインを通して、

キャラクターが「どんな性格なのか」という事が伝わるように、

考えながらデザインしている点が凄い、と解説した。

記号化された ““分かりやすさ””

出典:http://minkabe.com

一方で、

『新世紀エヴァンゲリオン』における、もう一人のヒロイン。

アスカ(惣流・アスカ・ラングレー)ついては、



コヤマ

「レイとは対照的に

 外向的な性格のため、外側に髪がハネている。」

とレイとの差異を挙げた上で、



「アスカが髪の毛を縛っているのは、

 女の子らしさの裏側に “自分の性格を束縛している”

 という、二重の意味合いが込められている。」

以上のように解説した。

安藝

「良いキャラクターのデザインは、

 ある種、記号化されていて似させやすいのが特徴。」

コヤマ

「僕のなかで “誰でも描ける” というのは、

     デザインの根本にある大切な部分。」

また一方で、安藝氏はコヤマ氏の解説に対して上の様に述べ、

IP自体の人気の後押しもあるが、

“似させやすい” 点による二次創作やコスプレなど、

キャラクター人気の多角的な拡がり にも寄与することを補足。

コヤマ氏も安藝氏の発言に言葉を添えた。

人気の出るキャラクター像

構造的な ““無意識の刺激””

出典:http://ec2.images-amazon.com

「 『ソードアート・オンライン』のアスナは、

   見た瞬間に売れると思いました。 」

キャラクターデザインにおける構造的な要素を考える流れから、

話題は、最近の人気の出るキャラクター像にシフトした。

過去に、コヤマ氏とイラストレーターのhuke氏と、

一緒に喋っている際に、SAOのアスナの話になったそうである。


※ huke ※

日本のイラストレーター。Supercellのメンバー。

『ブラック★ロックシューター』

『メタルギアソリッド』シリーズ

『STEINS:GATE』シリーズ

などの作品において、キャラクターデザインを担当する。


安藝氏

「アスナのどのへんがいいですか?」

コヤマ

「もちろん、キャラクター本来の

 デザインも魅力ですが、やはり “色” と “髪” ですね。」

アスナの魅力に関して、コヤマ氏は

◇ サラサラで長い髪や結っているところ。

◇ 髪の色もミルクティーのような淡い色でインパクトがある。

以上のような点を挙げた。

出典:http://dengekionline.com

「みなさんは “アフォーダンス” って知っていますか?」

アフォーダンス とは、

物体の持つ属性をユーザーに対して、

意識的にメッセージとして発する理論のことであり、

● お茶のペットボトルは、緑色を基調としている。

● ドアの取っ手の形は、引く方が分かる形をしている。

のような、瞬間的に情報を認識させる要素を指すが、

コヤマ氏は、アスナには先述の魅力のような、アフォーダンスに近い、

「日本の男子が好む要素が入っている。」と解説した。

キャラクターとロマンチシズム

出典:http://ecx.images-amazon.com

再び話題は変わり、

『フィギュアとオンラインゲームの関係性について』 となる。

オンラインゲームのフィギュア化に対して、

安藝氏は、『艦これ』『刀剣乱舞』 の2タイトルが、

「圧倒的な売上を誇っている。」

結果を述べた上で、「なぜだろう」と疑問を提示。

安藝氏の疑問に対して、コヤマ氏は

「キャラクターと作品の関係性に、

 ファンが感情移入する事の出来るロマンチシズムが

 入っているかどうかが大きいと思います。」

と解説した。

幼さ と 可愛さ

出典:https://www.jp.playstation.com

最後に、安藝氏が代表取締役社長を務める。

グッドスマイルカンパニー の代表的商品

『ねんどろいど』 のデフォルメデザインに関して、

安藝氏

「対象のキャラの年齢を、5歳~6歳ぐらいに

 下げる方法で可愛さを作っているケースが多い。」

という、制作時の注意点を明かした上で、

「リボンが目立つキャラクターなら更に大きく、

 ツインテールが特徴なら床まで付けたりする。」

単純に幼児化するのではなく、頭や体を大きくし、

手足を短くするなどのバランス調整を行ったうえで、

キャラクターの性格を表す髪型やアクセサリーを

強調して分かりやすくなるように考えていると解説。

「(基準が)安定したのは30体目ぐらいです。

   ちょうど、ハルヒを作っていた時でした。」

という裏話も語ってくれた。

ちなみに、いま安藝氏が注目しているキャラクターは

うまるちゃん (『干物妹!うまるちゃん』のヒロイン)で、

「国内外問わず想定以上にフィギュアが売れている」と、

全世界規模で人気を集めていることを語ってくれた。

記事執筆者のリアクション

出典:https://s.mxmcdn.net

⇒ 一目で、どんなキャラクターか伝わるデザイン。

凄く「分かるなぁ~」と感じました。

例えば、近年ヒットした作品を挙げてみても、

そのポイントはハッキリ出ていると思います。

例えば、上の画像は

『冴えない彼女(ヒロイン)の作りかた』ですが、

ヒロインは皆、

私服よりも制服を着ている率の方が高いわけですが

第一印象として、

「あっ、このキャラは活発なんだな。」とか、

そういうイメージは分かりますよね。

出典:http://livedoor.blogimg.jp

⇒ アスナの魅力

僕も、SAOが大好きなので、「分かる」と感じました。

⇒ ミルクティー色の髪

「そういう表現をするんだ!」と不覚にも笑いました。

でも、最近の人気キャラって、

アスナの髪色に近いキャラクター多いですよね。

上の画像は、

『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』ですが

由比ヶ浜さんや、いろはす がオレンジベージュ系ですし、

今では違いますが、初期の『ラブライブ!』は、

穂乃果ちゃんが、不動のセンターでしたし、

先ほど上がった『うまるちゃん』もそうですよね。

出典:http://blog-imgs-57.fc2.com

⇒ ロマンチシズム

アニメにおける『学園もの』ジャンルであったり、

『アイドルプロデュースもの』が多いのは、

感情移入の方法として、

「受け入れやすいのかな?」と思いました。

自分が提督になるとか、プロデューサーになるとか、

作品の一部として没入して、「一緒に楽しんでいる!」

という気持ちになれますよね。

「現実との疑似体験性の追求」が、

最近のヒット作品には多いのかな? という感想を持ちました。

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