萩尾望都が描いたオススメ漫画12選!

萩尾望都は少女漫画の世界では初めて本格的なSF長編を描き、常に先進的な作品を発表してきました。選ぶのに苦労した結果、中途半端な数になってしまいましたが、特にオススメの萩尾望都作品を12選をご紹介します!

萩尾望都先生を知らない方のために

プロフィール

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1969年「ルルとミミ」でデビュー(なかよし夏休み増刊号)。当時の少女漫画では萩尾先生が描きたいと考えていたSF作品が受け入れられず、2年ほどは作品が採用されない時期が続きました。共同生活をしていた竹宮恵子先生の紹介で、小学館に持ちこみをしたことで転機が訪れます。

編集部の山本順也氏に認められ、「自由にわがままに思い切り描かせたい」という方針で、描きたいテーマで本領を発揮できるようになりました。現役の漫画家として連載を抱える傍ら、2011年から女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科メディア表現領域の客員教授として教鞭もとっていらっしゃいます。

受賞歴

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数々の賞を受賞されています。紫綬褒章は、少女漫画家としては初めての受章になります。

1976年  第21回小学館漫画賞           受賞作品「ポーの一族」、「11人いる!」
1980年  第11回星雲賞コミック部門         受賞作品「スター・レッド」
1983年  第14回星雲賞コミック部門        受賞作品「銀の三角」
1985年  第16回星雲賞コミック部門         受賞作品「X+Y」
1997年  第1回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞   受賞作品「残酷な神が支配する」
2006年  第27回日本SF大賞受賞           受賞作品「バルバラ異界」
2010年  インクポット賞(Inkpot Award)  
2011年  第40回日本漫画家協会賞にて文部科学大臣賞
2012年  紫綬褒章 受章

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少女漫画界の神様とも言われる漫画家、「萩尾望都」が登場!

『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞。『残酷な神が支配する』で手塚治虫文化賞マンガ優秀賞。2012年には、少女漫画界で初めて紫綬褒章を受章。デビュー48年経った今も、第一線で活躍する。

今回は、初めて「王朝もの」に挑んだ野心作『王妃マルゴ』の現場に密着。漫画ファン垂涎のペン先。そして、若い頃から貫いてきた人物の「葛藤」を描きたいという熱い思いが明らかになる。

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おススメの萩尾作品 12選!

「ポーの一族」シリーズ(初出「別冊少女コミック」1972年9~12月号)第21回小学館漫画賞受賞

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「ポーの一族」シリーズは、吸血鬼(パンパネラ)伝説をベースにした14作品(1972~1976年)です。18世紀から20世紀へと時を渡っていくパンパネラの少年の物語です。萩尾先生の代表作のひとつでもあり、少女漫画史に残る名作だと思います。

表題の「ポーの一族」はシリーズ初の長編です。主人公エドガーの永遠を生きる孤独と悲しみ、エドガーの眼を通して、限られた生をひたむきに生きる人間の姿が描かれています。

「トーマの心臓」(初出「週刊少女コミック」1974年第19号~第52号)

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ドイツのギムナジウムに入っている、少年たちの愛と友情を描いた作品です。陸橋から転落死したトーマ。トーマにそっくりなエーリクが転校してきます。トーマの死をめぐり、悩み苦しむ少年たちの姿のピュアな心は、作品全体を通して透明感を感じさせます。

いわゆる少年愛やBLがテーマの作品ではありません。個人的には、この作品の世界観に魅力を感じ、影響を受けた方々によって少年愛やBLという分野が切り拓かれたと思っています。同じ舞台・登場人物の「11月のギムナジウム」「訪問者」があります。

11人いる! (初出「別冊少女コミック」9~11月号) 第21回小学館漫画賞受賞

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宇宙大学入学試験の最終テストで、宇宙のさまざまな地域から来た700名の受験者が、10名ずつのグループに分けられて宇宙船に乗りこみます。受験者10名のはずが乗船しているのは11名。試験課題は「漂白中と仮定した船においての協調性」で、全員が協力して、宇宙船に53日間留まれば合格となり、1人でも落伍すると全員が不合格となります。

非常時にはボタンを押して救助を求めることができますが、押してしまえば全員不合格になってしまいます。疑心暗鬼になる受験生たち。それから、不審な出来事が次々と起こり始めます。出身地も年齢もさまざまな受験生たちの、ユニークなキャラクター造形が秀逸です。

特に、主人公フロルの愛くるしさは無敵です!続編に「続・11人いる!」「東の地平・西の永遠」があります。

銀の三角(初出「SFマガジン」1980年12月号~1982年6月号)第14回(1983年)星雲賞コミック部門受賞

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未来世界を舞台にしたSF長編。時間移動能力を持つマーリーとそのクローンが、謎の吟遊詩人ラグトーリンとともに、3万年前に絶滅した銀の三角人を救うため、時空間を行き来する物語です。クローン再生による人格の混合や、時空移動によるタイムパラッドクスなど難解で複雑な設定です。

SF専門誌「SFマガジン」で連載されたため、少女漫画の読者向けという制約を外して描かれ、従来作品と一線を画しています。しかし、繊細な作画や豊かな叙情性が美しい作品ですので、設定を完全に理解できなかったとしても楽しめると思います。

スター・レッド(初出「週刊少女コミック」1978年23号~1979年3号)第11回星雲賞コミック部門受賞

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ニュー・トーキョー・シティで父と暮らす星は、髪を染め、コンタクトレンズに隠していますが、白い髪と赤い瞳を持つ火星人でした。流刑地として送られた火星の影響を受け、遺伝子が変異して超能力を持つようになった火星人。

同じ祖先を持ちながら超能力をもつ火星人を忌み嫌い、支配しようとする地球人。そして、火星と同じように遺伝子変異を起こす母星を失ったエルクの悲しみ。壮大なスケールのSF長編です。

「メッシュ」シリーズ(初出「プチフラワー」1980年夏の号~1984年6月号)

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パリを舞台にした連作短編シリーズ。母に捨てられ、父に疎まれて育った少年メッシュの成長、父との確執を描いた作品です。主人公は、金髪に白銀が混じった髪をもつことからメッシュという愛称で呼ばれる美少年です。

メッシュの生い立ちに端を発したシリアスなテーマを内包していますが、自由奔放に漂うように生きているメッシュと、メッシュを取り巻く胡散臭い画商や芸術家の卵たちの人間模様は明るく、ポジティブな印象の作品です。

A-A’(初出「プリンセス」1981年8月号)

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小さな調査基地が舞台で、事故死した調査員アデラドがクローン再生され、アデラド’ (A’)が赴任するところから始まります。アデラドは一角獣種という人種で、知能は非常に高いのですが、感情のサイクルが一般とは違い、ストレスに弱く、精神的にも物理的にも非常に不器用です。

アデラド(A)とほのかな恋愛関係にあった、レグ・ボーンはアデラド(A)の思い出とのギャップに悩みながらも、アデラド(A’)に受け入れようとします。フィールド調査で、アデラド(A)の遺体を発見してしまいます。悩み苦しんだ末に基地を出ていくレグ。残されたアデラド(A’)は・・・。

甘いセリフも、ドラマチックな演出もありませんが、クローン再生されても、自然と重なっていく想いを描いたロマンチックな作品です。

X+Y(初出「プチフラワー」1984年7月号・8月号) 第16回(1985年)星雲賞コミック部門受賞作

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火星改造計画の学会に地球から参加した「アレルギー・カルチャー」チームの一角獣種のタクト。タクトには出生の秘密があり、タクトの養父母はこの機会にタクトを実父に会わせようとします。タクトは実験の協力者、モリと出会います。魅かれあい、不思議な共鳴を起こす2人。

モリとタクトがスクーターで移動中に事故に合い、タクトが行方不明になり・・・。タクトは、「A-A’」のアデラドと同じ一角獣種です。一般的な基準から外れていたり、不器用だったりと生きづらさを抱える人への優しい目線を感じる作品です。

タクトの養母アンアン、「アレルギー・カルチャー」の仲間たちが大好きです。

イグアナの娘(初出「プチフラワー」1992年5月号

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初めて生んだ赤ちゃんがイグアナに見える若い母親。夫も、親たちも、誰もが可愛い女の子だと言います。次に生まれた子は人間に見えたため、母親は妹ばかりを溺愛し、姉は厳格に育てます。長女リカも、やがて母親の愛を求めることを諦めるようになります。

この作品のエピソードには、萩尾先生の体験も含まれているそうです。子供を産んだリカが、唐突に母の心情を理解するシーンは、母子の葛藤を乗り越えることへの願いがこもっているように思います。小品ですが、菅野美穂主演でTVドラマ化もされた名作です。

残酷な神が支配する(初出「プチフラワー」1992年7月号~2001年7月号)第1回手塚治虫文化賞優秀賞受賞

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母の再婚相手グレッグに性的虐待を受けていたジェルミは、事故を装ってグレッグを殺害しますが、同時に母も失います。ジェルミと同じ寄宿舎にいたグレッグの長男イアンは、父の死に不審を抱き、やがてジェルミとグレッグの関係にも気づいてしまいます。

イアンは救いを求めるジェルミを拒絶、追い出してしまいますが・・・。非常に重たいテーマで衝撃的な内容なので、気軽に読むことはお勧めいたしません。児童虐待・性的虐待の物語ではなく、「再生」「救済」を求める人間の物語です。

尊敬する父の素顔を知り、もがき苦しむイアンはジェルミを救うことができるのか?いろいろな意味で厳しい作品ですが、印象に残る美しい場面がいくつもあります。

バルバラ異界(初出「flowers」2002年9月号~2005年8月号)第26回日本SF大賞受賞

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西暦2052年。主人公の渡会時夫は、他人の夢に入りこむ能力をもつ“夢先案内人(ゆめさきガイド)”。ある事件が原因で7年間眠り続ける、十条青羽という少女の夢をさぐる仕事を引き受けます。夢の中の青羽は「バルバラ」という島で幸せに暮らしていました。

青羽が眠り込むきっかけになった事件を調べ始めた時夫と、時夫の息子キリヤは青羽をめぐる事件に巻き込まれていきます。バルバラと現実世界、青羽とキリヤの夢が交錯し、火星やアフリカを巻き込みながら、日本の遠軽そして東京へと物語は収束していきます。

萩尾先生のタッチがそのまま見られるので、アニメとは違った良さがあります。小学館制作の「バルバラ異界」 作品紹介ムービーです。

AWAY-アウェイ(初出「flowers」2013年6月号~2015年8月号)

出典:http://flowers.shogakukan.co.jp

原案が小松左京「お召し」というのは、以下の設定を継承して、独自にストーリーが構成されているからです。登場人物もすべてオリジナルです。「お召し」では12歳が上限ですが、本作では18歳となっています

・大人がいなくなって子供だけの世界になる
・年かさの子供たちが、より小さい子供たちを助けている
・一定年齢になると消えてしまう(お召しでは12歳、本作は18歳)
・赤ちゃんは生まれてくる(何もない空間から現れる)

203X年3月20日の朝。地球は異常気象に襲われ、あらゆる交通機関、テレビやラジオのメディア、インターネットなどすべてのコミュニケーション手段が麻痺してしまいます。あくる日、21日の朝になると大人がいなくなっていました。残された子供たちは必死で知恵を絞り、助け合いますが・・・。

アニメ化された作品は?


時空の旅人(1986年マッドハウス)

監督 真崎守 キャラクターデザイン 萩尾望都「11人いる!」は1986年にキティ・フィルムによりアニメーション映画化されました。原作ではありませんが、1986年に劇場公された「時空の旅人」(製作:角川春樹事務所)のキャラクターデザインを担当しています。

また、野田秀樹氏(NODAMAP)と共作で脚本を手がけた「半神」を始め、宝塚歌劇団スタジオライフにより多くの作品が舞台化されています。

最後に

出典:http://you.shueisha.co.jp

私が漫画を読み始めた頃、萩尾先生はすでに人気作家でした。次々と発表される話題作に感動したり、衝撃を受けながら読み続けてきました。この記事を書くため、ポーの一族トーマの心臓スターレッドなどの懐かしい作品を手に取ったら、いつの間にか読みふけっていました。

描かれた頃と時代は変わり、SF設定の緻密さなどは最近の作品には及びませんが、少しも古くささを感じることがなく、前に読んだ時以上に作品の奥深さを感じました。それはたぶん、普遍的なテーマ物語性独特の世界観が作品の中で確立されているから。

自分が年齢を重ねた分、過去には読みとれなかった部分が理解できるようになったのだと思います。こういう作品たちと出会えたことに感謝しています。一時期は引退を考えていらしたそうですが、お元気でいる間はもっともっと描き続けていただきたいと切に願います。