伊藤潤二が描く「うずまき」の魅力を徹底解説!

漫画家「伊藤潤二」と言えば、ホラーマンガ「富江」シリーズが有名です。

その代表作と双璧をなす作品が、今回ご紹介する「うずまき」です。

実は「うずまき」は実写映画化もされており、「伊藤潤二」のマンガを語る上で「富江」と共に重要なポジションを占めています。

本作は、普通のホラーマンガとは違いスプラッタやホラー的な部分は少なく、正に「怪奇」と「幻想」の世界がジワジワと常識世界を侵食して行く感覚が味わえる良作です。

今回はこの「うずまき」の魅力について、ご説明いたします。

あらすじ

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女子高生「五島桐絵」は恋人「斎藤秀一」の父が変死した事をきっかけに、自分の住む黒渦町で起こる数々の怪奇事件と遭遇する様になってゆく。

身の回りで起こる奇怪な事件で必ず存在するのは、「うずまき」であり、五島桐絵と斎藤秀一の目の前で人々は「うずまき」に絡め取られ、狂気と怪奇な出来事が続く。

そして黒渦町の全てが「うずまき」に巻き込まれ、現実世界から切り離され奇怪な世界へと変貌してゆく。

本作の魅力

染み込む様な「怪奇」

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昔、アメリカのTV番組「トワイライトゾーン」であった「アナタの目はアナタの体を離れて、この不思議な世界に入って行くのです。」そんな決め台詞が似合う作品です。

作品は1話完結のマンガが複数集まって構成されています。主人公の「五島桐絵」と恋人の「斎藤秀一」は、主役と言うより、ストーリーテラーです。

各話のストーリーは、個々にバラバラであり、繋がりはほとんどありません。ですから、ホラーといっても、純粋に怪奇と幻想のストーリーが展開したかと思えば、スプラッタに近いスリラーや、怪奇と無縁なコミカルなストーリーの回もあります。

しかし、そうやって手を変え、品を変えられたストーリーを読み進める内に、「五島桐絵」の周囲が徐々に「うずまき」に侵食され、身近な人々や風景ですら渦に飲まれて変質してゆきます。

気が付いた時には我々が知る常識と世界は姿を消し、そこに置き換わった奇怪と狂気な世界が主人公たちの前を闊歩して行きます。そうした徐々に世界の常識を侵食し、見てはいけない深淵へ誘う様に読者を引き込んでゆく魅力があります。

漫画家「伊藤潤二」の懐古的なペンタッチ

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シャープで描き込みは少なく現代的でありながら、懐古的な雰囲気のある「伊藤潤二」のペンタッチは、本作でも健在です。

画力は高く、「伊藤潤二」の描く美人画は定評があります。そんなシャープで美しい主人公や確かな描写力で描かれた登場人物達が、少し昭和を感じさせる世界観の中で、現実世界と乖離した奇妙な物語が進められて行きます。

確かな画力が読者に荒唐無稽なストーリーに説得力を与え、物語のクライマックスへと引き込んで行きます。

「うずまき」が意味するもの

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ストーリーの大事なキーワードである「うずまき」。この奇妙な図形は、我々の現実世界でも様々な部分に見受けられ、隠されています。

例えば「遺伝子(DNA)」、螺旋状に描かれたこの生命の基盤は、ぐるぐると渦を巻いています。

例えば「銀河」、無数の星々が渦巻くこの集合体は正に「うずまき」であり、光速に近い速度で回転しながら宇宙を進んでいます。その銀河の回転しながら進む航跡も「うずまき」です。

世界のありとあらゆるトコロに「うずまき」は存在し、世界を構成する重要な要素が「うずまき」と言っても良いでしょう。

作者である「伊藤潤二」は若い頃、マンガとは無縁でSF小説を執筆していたそうです。その為、本作品にはその資質が色濃く反映され、ただの恐怖ばかりを与える怪奇物ではなく、コズミックホラーとしての側面も持っています。

筆者の個人的意見ですが、本作品「うずまき」は、怪奇と幻想の世界を通じて「うずまき」そのものをマンガで表現したかったのではないかと思っています。

ちなみに…

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本作「うずまき」は先にも述べた様に実写映画化されています。公開は2000年,主演は初音映莉子でした。また同年にゲーム機「ワンダースワン」でゲームソフトも発売されています。

ムービーコミックとしての「うずまき」

https://youtu.be/wnQAJPv8x9UbTVでムービーコミックとして公開されています。
第1話がyoutubeでも公開されています。

Twitterの反応

出典:http://pbs.twimg.com

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まとめ

出典:http://manyudo.blog45.fc2.com

本作品はホラーマンガとしては異質な作品です。ホラー好きでない人もぜひ一度読んで頂ければと思います。現在は各出版社から発行されており、1冊にまとまった総集編もありますから入手は容易だと思います。

ちなみに「映画版」については、筆者は観た事が無いので、どんな仕上がりなのかは解りません。 しかし、実写映画でストーリーと雰囲気を追うよりも、純粋に「伊藤潤二」の描く奇妙で怪奇な世界を覗き込むのが一番良いと思います。

「うずまき」を発端に、何処かノスタルジックな怪奇と幻想の世界が拡がり、読んでいるアナタも気が付けば「うずまき」の渦に飲み込まれていることでしょう。